【ハノイ/ベトナム 11日 AFP】ベトナムが11日、世界貿易機関(WTO)の150か国目の加盟国となった。共産国家がグローバル経済の枠組みへ参入することとなった今回の加盟は、急速に発展するベトナムにとり、新時代の幕開けとなる。

 東南アジアで第2の人口を抱えるベトナムは、WTOの正式メンバーという国際的地位を得て、経済成長をさらに加速させたい思惑がある。現在、ベトナムの経済成長率はアジアでは中国に次ぐ第2位。

 計画投資省の上級エコノミスト、Le Dang Doanh氏は、ベトナムのWTO加盟を「非常に重要な転換点」とみる。「WTO加盟でベトナムの経済改革は新段階に入った。加盟によりベトナムは目覚ましい発展が期待できる」

 同時に「もちろん、良い面もあれば克服すべき課題もある」とマイナス面も指摘する。「厳しい競争はベトナムに活力をもたらす一方、負け組も生み出す。多少、倒産する企業もあるだろう。」

 安価で勤勉な労働力提供に特化したベトナムの産業構造はベトナムのセールスポイントとなる一方、設備投資型の産業は外資の参入により厳しい競争に直面すると同氏は予測する。「『創造的破壊』はベトナムとって重要なプロセスだが、長らく計画経済で保護されてきたベトナム人にとっては、多大な痛みも伴う。しかし、多少の犠牲はやむを得ない」


 一方、外務省のLe Dung報道官は、スイス、ジュネーブ(Geneva)のWTO本部での加盟式を「ベトナムが国際経済への統合を果たした画期的な出来事」と評した。

 WTOのパスカル・ラミー(Pascal Lamy)事務局長は加盟式典でベトナムの「決断力、交渉力、経験」を評価、これらがこう着状態にある「ドーハ・ラウンド(the Doha round)」に必要な精神であると述べた。

 写真はSon La県で5日、タピオカを収穫する少数民族の女性。(c)AFP/HOANG DINH Nam