【プノンペン/カンボジア 21日 AFP】密林の中で8歳のときに行方不明になり、19年ぶりに発見された女性の父親とされる男性が、DNA鑑定による親子関係の証明に前向きであることが明らかになった。

■「鑑定より診療を優先したい」

 発見されたロチョム・プニン(Rochom P’ngieng)さんの父親とされるSal Louさんは、実際には鑑定よりも娘に診療を受けさせることの方が重要だと述べ、国内外からの支援を呼びかけた。
「可能であれば娘にDNA鑑定を受けさせたいが、彼女が娘であることは確実なので、それ自体は重要ではない。親子関係の確認より、娘の健康診断を優先したい」

 プニンさんは、10日、首都プノンペン(Phnom Penh)の北東部ラタナキリ(Rattanakiri)州の密林から、農家の食物を盗むために姿を現わしたところを発見された。Louさんによると、プニンさんは1988年に水牛を追っている際に行方不明になったという。

 Louさんは、「今日はおとなしいが、この数日はひどかった」と語る。
「昨晩などは、泣き叫んで衣服を引きちぎり、密林に駆け込もうとしてしまったので、すぐに捕まえた」
 プニンさんの「家族」は、プニンさんが密林で死んでしまうことを恐れ、必死に連れ戻した。

■19年間の密林生活を「疑問視」する声も

 付近の住民のなかには、プニンさんの髪とつめの手入れが行き届いていることから、ずっと1人で密林で生活していたことに疑問を持つ人もいるという。

 なお、DNA鑑定はプニンさんおよびLouさん夫妻に対して行われる予定で、実施について警察では援助機関による医療の提供を求めている。

 写真は16日、自宅に戻った際のプニンさん。(c)AFP