【デンパサール/インドネシア 30日 AFP】インドネシア検察当局は30日、2006年11月にバリ(Bali)島で逮捕されたオーストラリア人女性教師に対する麻薬所持容疑を取り下げ、刑罰の軽い麻薬使用容疑による懲役3か月の求刑を勧告した。

 麻薬所持容疑の場合、最高5年の求刑となるが、判事が検察の勧告の受理を決定した場合には、十数週間で釈放される見通し。

 メルボルン(Melbourne)出身の教師Michelle Dawn Condon(35)容疑者は、11月にバリのデンパサール(Denpasar)で逮捕された際、覚醒剤0.2グラム、大麻数グラムを所持していた。裁判所に対し同容疑者は、麻薬は売人から約21ドル(約2600円)で入手したと語っていた。検察側は容疑者が麻薬中毒である証拠を入手したとしている。

 しかし、Nurlaeli検察官はデンパサール地方裁判所に対し、Condon容疑者を麻薬所持で告訴するに足る証拠を見つけられなかったと述べた。

「警官やそのほか関係者の証言では、彼女がワヤンと呼ばれる男から麻薬を入手した目撃者が複数いた。誰かから入手したという取引の証拠がある以上、彼女自身を“所持者”だとすることはできない」。

 薬物検査ではCondon容疑者が長期間にわたる麻薬中毒であることが明らかになっており、常用者である疑いは裏付けられた。

 また、Nurlaeli検察官は判事に対する勧告の中で、3か月の懲役のほかに300万ルピア(約4万円)の罰金を課すか、さらに3か月の懲役を課すべきだと勧告した。Wayan Merta判事によると、今後1週間以内に裁判が再開され、判決が言い渡される。

 麻薬の密売人と使用者の双方に対して厳罰を課してきたインドネシアでは、現在35人が麻薬関連の犯罪で死刑囚として服役している。オーストラリア人が逮捕されるケースもまま見られ、過去にはバリ島にヘロインを密輸していた「バリ・ナイン」と呼ばれるギャング団9人のうち6人のオーストラリア人が麻薬密売の罪で死刑、残る3人は終身刑を言い渡された。また同じくオーストラリア人のSchapelle Corby元懲役囚はバリ島にマリファナを密輸した罪で20年間服役した。

 写真は30日、デンパサール地裁で裁判前にM Rifan弁護士と面会するCondon容疑者(左)。(c)AFP/Sonny TUMBELAKA