【ウェリントン/ニュージーランド 15日 AFP】数週間にわたり日本の捕鯨船と米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」の間で激しい衝突が続く中、南極海で15日、日本の調査捕鯨船「日新丸」で火災が発生、乗組員1人が行方不明になった。

 日新丸は15日未明、南極海のロス海(Ross Sea)上で火災発生の遭難信号を発信。その後、乗組員120人は別の船に避難し、船内に残った40人が消火活動に当たったという。火災は遭難信号が発信されてから数時間後に鎮火された。

 日本の水産庁によると、行方不明になったのは牧田和孝さん(27)。他の乗組員は全員無事で、日新丸は沈没していないという。

 国際捕鯨委員会(IWC)日本代表団のグレン・インウッド(Glenn Inwood)報道官はラジオ・ニュージーランドの取材に対し、「火災が発生したのは船尾付近で、火の手は短時間で広がり、大規模な火災になった。船内に残った乗組員らが消火活動に当たったが、すぐには鎮火できなかった」と説明した。

■ シー・シェパードはかかわりを否定

 シー・シェパードは、日新丸が「ミンククジラ約850頭とナガスクジラ10頭の捕獲計画を立てていた」として、以前から同船に対し南極海上で妨害活動を行っていた。だが火災発生当時については、抗議船は現場から離れた海域にいたと主張している。

 同団体のポール・ワトソン(Paul Watson)代表は、ニュース放送局・スカイニューズ・オーストラリア(Sky News Australia)の取材に対し、「燃料不足のため港に引き返していたので、日新丸とは3日間、接触していない。日新丸が遭難信号を受信した当時は1600キロ以上離れた位置にいた」と述べた。

 日本の水産庁も、火災と同団体による攻撃は明らかに無関係だとみている。

 南極海では12日、日本の別の捕鯨船とシー・シェパードの抗議船が衝突するという事件があったばかり。

 写真は、南極海で捕鯨を行う日本の捕鯨船「海幸丸」(2007年2月10日撮影)。(c)AFP/Sea Shepherd Conservation Society