【カブール/アフガニスタン 14日 AFP】アフガニスタン国防省は13日、パキスタンがアフガニスタンとの国境の一部へのフェンスの設置を開始したと発表した。アフガニスタン政府は、国境線は画定したものではなく、フェンス設置には問題が多いとして、これに反発している。

 アフガニスタン国防省の報道官は、軍情報部の話として、パキスタンが南東部パクティーカ県バルマル(Barmal)郡との国境にフェンスの設置を開始したとAFPに語った。これに対し、パキスタン政府は、フェンスの設置を「まもなく開始する」とし、既に開始したとの報道を否定した。

 パキスタンのペルペズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領は、2月に、反政府武装勢力タリバン(Taliban)のアフガニスタンへの流入を防ぐために北西部の国境に総延長35キロのフェンスを建設すると発表していた。

■アフガニスタン国防省、武装勢力の流入を阻止する効果を疑問視

 しかし、アフガニスタン国防省は、武装勢力の流入を阻止する効果については疑問視している。報道官は、「フェンスを設置してもテロとの戦いには効果がない。第一に、現在の国境線に両国が同意しているわけではなく、フェンスがわが国の領土を侵害する可能性もある」との見解を述べた。さらには、フェンスが両国間を行き来する部族や家族を分断する可能性への憂慮も示した。

 アフガニスタン側は、1893年に英領インド帝国(現在のパキスタン含む)が当時絶大な勢力を誇っていたパシュトゥーン(Pashtun)人の居住地を分断する目的で策定したデュアランド線(Durand Line)を国境と見なしている。しかし国防相は、「デュアランド線は、多くの部分で不明瞭だ」と語った。

 一方のパキスタン側は、「両国間の国境線は疑いようのない事実」とし、ムシャラフ大統領も「国境線は極めて明確であり、いかなる変更も決して容認されない」と発言している。

 アフガニスタンを訪問しているリチャード・バウチャー(Richard Boucher)米国務次官補(中央・南アジア地域担当)は、今週のパキスタン訪問時にこの問題を取り上げたいとの意向を示した。

 写真は13日、アフガニスタン南部のヘルマンド州の自爆攻撃現場を検証する警官。(c)AFP/Abdul Malek