【シンガポール 11日 AFP】リー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相が11日、今後5年間、自身の給与を従来水準に据え置くと発表した。

 2006年に162万ドル(約1億9300万円)だった同首相の年収は給与基準の改定により、200万ドル(約2億3800万円)に引き上げられることとなっているが、増額分については寄付を予定しているという。

 政府は9日、閣僚や公務員の給与引き上げを発表しており、リー首相の年収も引き上げが決定していた。だが、収入格差の拡大が続く国内では、政府の決定に対する非難が集中。そのような状況の中、議会に出席したリー首相は「今後5年間、わたし自身の給与を現状レベルに据え置く。制度上の問題で、政府はいったんわたしに全額を支払うが、今回の改定および将来的な改定により増加した部分については寄付する」と表明した。

 同首相は議会に対し「なぜ私がこのようなことをするのか明確にし、この政策について国民の支持を得られるよう道徳的評判を高めたい」と語った。

■首相の年収はブッシュ大統領の5倍、安倍首相の8倍

 給与基準改定後のリー首相の年収は、年収40万ドル(約4770万円)のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の5倍、年収24万ドル(約2860万円)の安倍晋三首相の8倍以上。

■給与引き上げめぐり、国内では激しい議論

 公務員給与基準の改定をめぐっては、控えめな国民性で知られる国民らが単刀直入に意見を述べ合い、近年まれに見る激しい議論が交わされていた。

 写真は、東南アジア諸国連合(ASEAN)第12回首脳会議に出席するためフィリピンのセブ(Cebu)に到着したリー首相(2007年1月12日撮影)。