【リヤド/サウジアラビア 29日 AFP】中東歴訪中の安倍晋三首相は28日、最初の訪問国サウジアラビアとエネルギー資源にとどまらない、「多層的な協力関係」の構築に合意した。一方、イランに対しては、核開発問題の前向きな解決を求めていくことで一致。政府関係者が29日明らかにした。

 安倍首相はリヤド(Riyadh)の王宮を訪れ、アブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdul-Aziz)国王と会談。石油を中心とした両国関係をより広い分野に広げたいと述べ、国王も「そうした関係を深めることを望む」と返答したと政府関係者は語った。

 一方、イランに対しては両国ともに、国連(UN)の制裁決議に従い国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるよう要請。関係者によると、アブドルアジズ国王は安倍首相に、「この問題は平和的に解決されることが求められる」と話したという。

 また両者は、イラク復興に向けた協力でも一致。イラクに対し、「国民融和の推進と、あらゆる勢力・宗派の国民が平等に扱われる政策を進めるよう」求めた。

 両国はさらに、日本と湾岸協力会議(GCC)の間で進めている貿易交渉の加速についても合意。GCCの加盟国はサウジアラビアのほか、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、およびアラブ首長国連邦の6か国。日本とGCCは昨年2008年の締結を目指して貿易交渉を開始した。

 こうした合意などを受け安倍首相は、国王とスルタン・ビン・アブドゥルアジズ皇太子(Crown Prince Sultan Bin Abdul Aziz)を日本に招待。また、サウジアラビアが沖縄の石油備蓄施設を利用する構想なども提案した。

 写真は28日、リヤド市内で記者会見をする安倍首相。(c)AFP