【7月29日 AFP】ブラジルのサンパウロ(Sao Paulo)のコンゴーニャス(Congonhas)国際空港で17日に発生したTAM航空(TAM Airlines)旅客機の事故は、パイロットのミスが原因だったと28日付のサンパウロの報道雑誌Vejaが報じた。

 同誌は事故原因の調査チームの調査内容を引用し、滑走路の短さを事故原因の一つとしたほか、事故現場が狭かったために乗客らの避難する場所がほとんどなく犠牲数の増加につながったとしている。

 一方で、民間航空の監督と事故調査を担うブラジル空軍は声明で、事故の原因はいまだ結論付けられておらず、当局が報道機関に情報を明かすことはないと述べている。

 声明はこの報道について、「調査は現在も進行中」としたうえで、報道の内容は「早まったものであり、残念だ」としている。

 乗客・乗員合わせて187人が乗るTAM航空のエアバスAirbus)320型機は7月17日、着陸直後滑走路をオーバーランし、空港敷地外の道路を付き抜けて事務所建物に激突、炎上した。

 現在まで正確な死者数は分かっていないが、200人近くが犠牲になったとみられている。27日の時点で当局が身元を確認した犠牲者は89人。

■操作レバーが異なる位置に

 Veja誌は、事故機のエンジンのタービンを制御する操作レバーの1つが、通常着陸時にあるべき位置になかったことを調査チームが発見したと報じている。

 左エンジンのタービン操作レバーは逆噴射の位置にあり機体の減速を促していたが、右タービンの操作レバーは噴射位置にあり、加速を促していたという。

 事故直後の説明とは異なり、実際は雨で濡れた滑走路でのスリップやブレーキの不具合はなかったと同誌は報じている。

 重要な情報は、回収された事故機のブラックボックスからも得られたとしている。

 事故後閉鎖されていた滑走路は27日から航空機の離着陸が再開された。再開後同空港に最初に着陸したのはTAM航空機だった。(c)AFP