【8月27日 AFP】27日付の韓国有力紙、朝鮮日報(Chosun Ilbo)は、長く外国で暮らしていた北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(65)の長男、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏(36)が今年6月ごろに帰国し、党の中枢部門である組織指導部に勤務しているとの情報を伝えた。

 正男氏は異母弟の正哲(キム・ジョンチョル、Kim Jong-Chul)氏(26)、正雲(キム・ジョンウン、Kim Jong-Woon)氏(23)との後継者争いから脱落したとの見方があったが、この情報が事実であれば、再び後継者争いに復帰した可能性が高い。 

 正男氏は2001年、偽造パスポートで日本に入国しようとして強制送還された。この事件を機に、正男氏は後継者候補から脱落したと目されてきた。なお、同氏はここ3年間の大半をマカオでぜいたくな暮らしを送ってきたとされる。

 一方、韓国の国家情報院(National Intelligence ServiceNIS)は、情報は確認できていないとしている。

 「正男氏は後継者争いに復帰した」とみるソウルの東国大学(Dongkuk University)のKo Yu-Hwan教授(北朝鮮問題)は、その根拠について、「金正日総書記も、父親の故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席のもとで労働党の組織指導部に勤務した経験がある」と述べた。また、「一族への崇拝を強めた金正日総書記が、父から受け継いだ権力を息子の1人に継承したいと考えることに疑いの余地はない」としている。

 韓国の聯合ニュース(Yonhap news)は、金正日総書記の死後、正男氏を支持するグループ、正哲氏と正雲氏を支持するグループ、金正日総書記のキム・オク(Kim Ok)夫人を支持するグループの間で権力闘争が起こると予想している。

 なお、正哲氏と正雲氏の実母である高英姫(コ・ヨンヒ、Ko Yong-Hui)氏は、3年前に死去しており、朝鮮日報はそれ以降、正男氏が勢力を強めてきたとの見方を伝えている。(c)AFP