【8月28日 AFP】主要各宗派・民族の指導者らが国民和解に向け大筋の合意に達したイラクで、イスラム教スンニ(Sunni)派アラブ人の政治家らが27日、シーア(Shiite)派主導の政府への復帰を拒絶する意向を明らかにした。
 
 イラクで対立を続けるシーア派、スンニ派、クルド人勢力の指導者らは26日、対立解消に向けて長時間にわたる協議を行った。大統領府によれば、出席者らは、旧支配政党バース党(Baath party)員の公職復帰制限の緩和、地方選挙の実施、治安部隊に対する支援で合意したという。
 
 合意内容にはイラク駐留米軍の撤退が盛り込まれており、米議会からはシーア派のヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相の退任を求める声が上がっているが、米政府は、イラク主要各派・民族指導者らによる合意を歓迎している。

 米ニューメキシコ(New Mexico)州アルバカーキ(Albuquerque)で公式声明を発表したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は、イラク政府の指導者らが「意味のある真の和解」を追求する必要があると理解したことの表れだとしてイラクにおける合意を歓迎した。

 だが、一方で「昨日の合意は重要なステップだが、わたしは、やるべきことはまだたくさんあるということを指摘した。9月初旬に招集されるイラク国民議会で今回の政治的進展を成文化する必要がある」と述べ、依然課題は山積みだと警告した。

 一方、1日にマリキ政権から離脱したスンニ派有力会派「イラクの調和(National Concord Front)」の指導者、Khalaf al-Alayan氏は、同会派の要求が全面的に認められたわけではなく、すべての要求が満たされるまで、同会派はマリキ政権に復帰しないとの姿勢を明らかにした。

 同氏はさらに「イラク政府は、世界に対してしっかり機能しているところを示そうとしているが、マリキ政権は失敗作で、退陣すべきだ。現政権には信頼性がない」と語っている。(c)AFP/Sabah Jerges