【6月26日 AFP】バングラデシュでリキシャをこぐ過酷な労働も、まもなく過去のものとなるかもしれない。国内の農機具メーカーが年内にも、充電可能な電動リキシャを発売するからだ。

 電動リキシャを開発したのは、軍が所有する農機具メーカー、バングラデシュ・ディーゼル・プラント(Bangladesh Diesel Plant)。電動リキシャのプロジェクト長をつとめるアブドラ・マフムード(Abdullah Al Mahmud)少佐は、「首都ダッカ(Dhaka)の渋滞は緩和されるし、リキシャの運転手の収入も減らない」と、電動リキシャの利点を説明する。

 バングラデシュの歴史と文化の一部にもなっているリキシャの外見は、そのまま踏襲する。携帯電話のように充電でき、ひと晩の充電で丸1日もつという。

 1台の予定価格は3万タカ(約4万5000円)。従来からあるリキシャの値段の約2倍だが、電動式は足こぎ式よりも最大で4倍速く走れるために日銭も稼げ、もとはとれるとマフムード少佐は言う。

 同国のリキシャ台数は推定100万台。その半数が首都ダッカに集中しており、南アジア最悪とも言われる交通渋滞の元凶ともされる。

 最も安い交通手段、そして、ダッカの狭い街路では唯一可能な交通手段でもあるリキシャ。貧困国バングラデシュの国民の多くにとって重要な収入源となっている。

 リキシャの運転手は、週7日間、1日最低12時間は働く。1日の稼ぎはたいてい150-200タカ(約200-300円)だ。だが肉体を酷使するその労働には人権団体から「非人道的」との非難が寄せられている。政府はしばしばリキシャを一掃しようと試みてきたが、いずれも徒労に終わっている。

 先のマフムード少佐は、「自転車の速度を上げるだけでなく、貧しい運転手たちの非人道的な働き方に終止符を打ちたかった」と、開発の動機を語った。(c)AFP