【5月16日 AFP】タイ陸軍は16日、タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派「反独裁民主統一戦線(UDD)」(通称「赤シャツ隊」)が中心部で占拠を続ける首都バンコク(Bangkok)での外出禁止令を当面は出さないと発表した。

 軍は反政府デモ隊と一般の市民の区別がつくようにするため、外出禁止令を出す方向で検討していたが、一般市民への影響が大きいことから今回は見送りを決めた。

 またこれに先立ち軍の報道官は、帰宅を希望するデモ隊の女性や子ども、高齢者が避難できるよう、当局は赤十字を派遣するだろうと述べた。デモ隊のリーダーも帰宅を希望する人を止めることはないと語った。

 反政府派が占拠する区域の周辺では16日も散発的な銃撃が続き、デモ隊が放火した路上のタイヤから上る黒煙が広い範囲に立ちこめた。火事になった店舗も1軒見られた。救急関係者によると16日にデモ隊と治安部隊の衝突で新たに男性1人が死亡したが、詳しい経緯は明らかになっていない。

 UDDは2か月に及ぶ危機の収束させるため国王の介入に期待している。しかし、前年9月から入院しているプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王(82)は今回の騒動について直接の言及はしていない。(c)AFP/Thanaporn Promyamyai