未来のサッカー選手に学校教育、南アで新たなプログラム
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【5月28日 AFP】南アフリカ・ヨハネスブルク(Johannesburg)近郊の高校で、黒人居住区の学校からやってきた20人の若いサッカー選手たちが、新しい教育プログラムの下、学業に勤しみながらサッカーの練習に励んでいる。
舞台は、かつて白人の公立学校だったサンワード・パーク高校(Sunward Park High School)。青々した芝が茂り、校門もしつらえられている。
白い半ズボンにグレーのジャージを着てスパイクをはいた少年たちは、コーチたちの指示に従ってパスを回す。コーチは、引退したアフリカ人サッカー選手のグループ「Diambars」から雇われた人たちだ。「Diambars」はセネガルの主要語のウォロフ語で「戦士」を意味する。
■セネガルで始まった教育プログラム
教育プログラムは、貧しい地域出身の有望なサッカー選手たちにきちんとした教育を提供したいと望むパトリック・ビエラ(Patrick Vieira)氏やベルナール・ラマ(Bernard Lama)氏といったサッカーの名選手たちの考えを基にして、セネガルで始まった。
スペインの俳優にちなんで「バンデラス」というニックネームを持つ13歳のストライカー、アントニオ・カターニア(Antonio Catania)君は、「サッカー選手になるにはこれが一番の方法だし、教育も同時に受けられる」と話す。
「スポーツは教育振興に適した切り口だ」と話すのは、Diambarsのディレクターでベナン出身の元サッカー選手、Jimmy Adjovi-Boco氏。Adjovi-Boco氏は来月開幕する2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)をきっかけに、南アで初めて、この教育プログラムを始める。「W杯はプログラムを広めるのにいい手段だ」と語る同氏は、アフリカ大陸の経済大国である南アから、この教育プログラムをアフリカ各国に広めたいと考えている。
■よい学校はかつての白人居住地区に
アパルトヘイト(人種隔離)終結から20年近くが経ち、南アの教育は2つの方向に分かれている。よい学校の大半はかつての白人限定の居住地区にあり、サッカーよりもラグビーが盛んだ。一方、サッカーが圧倒的人気を誇るかつての黒人居住区にある学校のスポーツ施設は資金不足のあおりを受けている。かつて白人の公立学校だったサンワード・パーク高校のような学校は、政府からの資金を補うため生徒の親に資金を請求して施設を維持している。
南アのプロサッカーリーグ、プレミア・リーグの各チームで広くスカウトが行われているが、将来有望な選手に対する援助はほとんどされておらず、スポーツ訓練と学校教育を組み合わせた教育プログラムもほとんどない。
■恵まれた教育環境
かつての黒人居住区や地方から集められたDiambarsの生徒たちは、5年間教育を受ける。必要な情報を学ぶための補修授業もある。英語を学んだことのない生徒を支援するために雇われた、南アに11ある公用語の1つ、ソト語の教授Samuel Mphuti氏は「彼らは勉強に熱心。教育を受けたがっている」と話す。
1200人の生徒が学ぶサンワード・パーク高校は、体育館を改築して作った学生寮にサッカー選手たちを住まわせ、すべてのスポーツ施設を選手たちに開放している。同高校のAnsie Peens校長は「サッカーに秀でた学校にしたい」と話し、Diambarsのサッカー選手たちが他のクラスメートたちのスポーツレベルも引き上げてくれることを期待する。
一方、若きサッカー選手たちは、海外でプレーして金持ちになることを夢見ているようだ。「南アには金がない」と話すのは13歳の守備的ミッドフィルダー、ロナルド・ウィー(Ronald Wee)君。同じ歳の攻撃的ミッドフィルダー、Sizwe Dubazana君は「南アのサッカーは強くないしね」と言い添えた。(c)AFP/Alexandra Lesieur
舞台は、かつて白人の公立学校だったサンワード・パーク高校(Sunward Park High School)。青々した芝が茂り、校門もしつらえられている。
白い半ズボンにグレーのジャージを着てスパイクをはいた少年たちは、コーチたちの指示に従ってパスを回す。コーチは、引退したアフリカ人サッカー選手のグループ「Diambars」から雇われた人たちだ。「Diambars」はセネガルの主要語のウォロフ語で「戦士」を意味する。
■セネガルで始まった教育プログラム
教育プログラムは、貧しい地域出身の有望なサッカー選手たちにきちんとした教育を提供したいと望むパトリック・ビエラ(Patrick Vieira)氏やベルナール・ラマ(Bernard Lama)氏といったサッカーの名選手たちの考えを基にして、セネガルで始まった。
スペインの俳優にちなんで「バンデラス」というニックネームを持つ13歳のストライカー、アントニオ・カターニア(Antonio Catania)君は、「サッカー選手になるにはこれが一番の方法だし、教育も同時に受けられる」と話す。
「スポーツは教育振興に適した切り口だ」と話すのは、Diambarsのディレクターでベナン出身の元サッカー選手、Jimmy Adjovi-Boco氏。Adjovi-Boco氏は来月開幕する2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)をきっかけに、南アで初めて、この教育プログラムを始める。「W杯はプログラムを広めるのにいい手段だ」と語る同氏は、アフリカ大陸の経済大国である南アから、この教育プログラムをアフリカ各国に広めたいと考えている。
■よい学校はかつての白人居住地区に
アパルトヘイト(人種隔離)終結から20年近くが経ち、南アの教育は2つの方向に分かれている。よい学校の大半はかつての白人限定の居住地区にあり、サッカーよりもラグビーが盛んだ。一方、サッカーが圧倒的人気を誇るかつての黒人居住区にある学校のスポーツ施設は資金不足のあおりを受けている。かつて白人の公立学校だったサンワード・パーク高校のような学校は、政府からの資金を補うため生徒の親に資金を請求して施設を維持している。
南アのプロサッカーリーグ、プレミア・リーグの各チームで広くスカウトが行われているが、将来有望な選手に対する援助はほとんどされておらず、スポーツ訓練と学校教育を組み合わせた教育プログラムもほとんどない。
■恵まれた教育環境
かつての黒人居住区や地方から集められたDiambarsの生徒たちは、5年間教育を受ける。必要な情報を学ぶための補修授業もある。英語を学んだことのない生徒を支援するために雇われた、南アに11ある公用語の1つ、ソト語の教授Samuel Mphuti氏は「彼らは勉強に熱心。教育を受けたがっている」と話す。
1200人の生徒が学ぶサンワード・パーク高校は、体育館を改築して作った学生寮にサッカー選手たちを住まわせ、すべてのスポーツ施設を選手たちに開放している。同高校のAnsie Peens校長は「サッカーに秀でた学校にしたい」と話し、Diambarsのサッカー選手たちが他のクラスメートたちのスポーツレベルも引き上げてくれることを期待する。
一方、若きサッカー選手たちは、海外でプレーして金持ちになることを夢見ているようだ。「南アには金がない」と話すのは13歳の守備的ミッドフィルダー、ロナルド・ウィー(Ronald Wee)君。同じ歳の攻撃的ミッドフィルダー、Sizwe Dubazana君は「南アのサッカーは強くないしね」と言い添えた。(c)AFP/Alexandra Lesieur