映画『人生はビギナーズ』 父親のカミングアウト、その死を乗り越えてM・ミルズ監督が描いた世界とは?
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【1月23日 MODE PRESS】 「私はゲイだ」。75歳の父親がある日、そう告白してきたら・・・・今作品で監督を務めたマイク・ミルズ(Mike Mills)の実体験を元に実現した映画『人生はビギナーズ』。ゲイであることを告白してから新たな人生を謳歌する父と、その姿に戸惑いを隠せない息子。しかし、父の死後、愛に貪欲だった父の教えが、息子のその後の人生に静かに影響を与えていく。人生とは、そして愛とは、、、そんなテーマを静かに、そして熱く心に語りかけてくる人生讃歌の物語だ。
1月15日(現地時間)に発表された今年度ゴールデングローブ賞では、父役のクリストファー・プラマー(Christopher Plummer)が見事に史上最年長で助演男優賞を受賞した。アカデミー賞のノミネートや受賞の期待も高まる注目作だ。今回は、撮影の経緯やキャストとの交流など、作品作りについて監督が語った。
『人生はビギナーズ』は2月4日から新宿バルト9、 TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
(インタビュー)
-この映画を撮ることに至った経緯について
「『もう父の死の哀しみに浸るのをやめよう』と思った後に、何か父を思い出すような出来事が起こるということが時々ある。父とはまだ話し足りないんだ。彼が死んだ日、僕らはまだ熱い議論を交わしている最中だった。僕自身についてや、愛するパートナーとの関係について話しあっていた。そういう会話ができるようになったのは、父がゲイであるというカミングアウトしてから。シャイな性格だった父が、以前よりも心を開いて、まるで4歳児の子供のように生きるエネルギーにあふれ、世の中に関心を抱いていた。それは僕にとっても、父自身にとっても革新的だった。父はもう亡くなったけれど、その会話は未だに耳の奥で聞こえている。すべてを書かなければならない。どんなに恐ろしくても、まだうまくいかなくても、正直になれなくても。僕にはそうすべき時がきたと感じたんだ。僕が描きたかったのは、父のように、思い切れば人生を満喫できるということだ」
「脚本はその延長線のような形で始まった。 僕はきっとその一部にしがみつこうとしている。ゲイだとカミングアウトした父の知られざるクレイジーな一面やその美しさ、彼がいかにリスクを背負っていたか、そしていかに変わったかを僕はまだ一生懸命消化しようとしている」
-脚本を送る際、ユアンとクリストファーに手紙を書いたことについて
「自分にとって個人的な映画を長期間かけて一緒に撮ってもらうためには、手紙を書くのが礼儀正しいと思った。何をお願いしたいかを理解してもらうためにも。また、役者は、監督に合わせて能力を発揮する。『素直に心を開いてほしい』とお願いするためにも、手紙が必要だった」
「物語がどこに由来しているのかを説明し、 そこから徐々に内容を明かしていった。手紙にはまず、僕と父の真似をしてほしいわけではないと書いた。これは回想録ではない。自らの手でそのキャラクターを本物にしてほしい。僕は『キャラクターを真に理解して自身でそのキャラクターを作りあげる手助けをしたい』と。観客が本物だと思えるキャラクターを作り出したい。それが自分の監督スタイルだと思っているよ」
-キャストとの交流について
「それぞれ違う役者なので、それに合わせて、反応を伺いながら実験的・即興な演出も試しました。ユアン(Ewan McGregor)とメラニー(Melanie Laurent)の演出については、二人が別れるということはどういうことなのか、彼にとって人を愛するということはどういうことなのか、一緒に考えて話し合いました。クリストファーは、実際に同性愛者である友人と食事をしたりしていたらしく、彼の実生活のエピソードも含めて話し合いました。映画においては、彼ら自身がキャラクターの書き手です。基本的にはあまり演技のコントロールはしたくないと考えています」
「キャストとは撮影の後もよく会っています。もちろん、 LAのベニスに住むコスモ(犬のアーサー役)にも会いに行っています」
(c)MODE PRESS
【関連情報】
◆映画『人生はビギナーズ』特集ページへ
◆アカデミー賞の前哨戦、第69回ゴールデン・グローブ賞発表
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1月15日(現地時間)に発表された今年度ゴールデングローブ賞では、父役のクリストファー・プラマー(Christopher Plummer)が見事に史上最年長で助演男優賞を受賞した。アカデミー賞のノミネートや受賞の期待も高まる注目作だ。今回は、撮影の経緯やキャストとの交流など、作品作りについて監督が語った。
『人生はビギナーズ』は2月4日から新宿バルト9、 TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
(インタビュー)
-この映画を撮ることに至った経緯について
「『もう父の死の哀しみに浸るのをやめよう』と思った後に、何か父を思い出すような出来事が起こるということが時々ある。父とはまだ話し足りないんだ。彼が死んだ日、僕らはまだ熱い議論を交わしている最中だった。僕自身についてや、愛するパートナーとの関係について話しあっていた。そういう会話ができるようになったのは、父がゲイであるというカミングアウトしてから。シャイな性格だった父が、以前よりも心を開いて、まるで4歳児の子供のように生きるエネルギーにあふれ、世の中に関心を抱いていた。それは僕にとっても、父自身にとっても革新的だった。父はもう亡くなったけれど、その会話は未だに耳の奥で聞こえている。すべてを書かなければならない。どんなに恐ろしくても、まだうまくいかなくても、正直になれなくても。僕にはそうすべき時がきたと感じたんだ。僕が描きたかったのは、父のように、思い切れば人生を満喫できるということだ」
「脚本はその延長線のような形で始まった。 僕はきっとその一部にしがみつこうとしている。ゲイだとカミングアウトした父の知られざるクレイジーな一面やその美しさ、彼がいかにリスクを背負っていたか、そしていかに変わったかを僕はまだ一生懸命消化しようとしている」
-脚本を送る際、ユアンとクリストファーに手紙を書いたことについて
「自分にとって個人的な映画を長期間かけて一緒に撮ってもらうためには、手紙を書くのが礼儀正しいと思った。何をお願いしたいかを理解してもらうためにも。また、役者は、監督に合わせて能力を発揮する。『素直に心を開いてほしい』とお願いするためにも、手紙が必要だった」
「物語がどこに由来しているのかを説明し、 そこから徐々に内容を明かしていった。手紙にはまず、僕と父の真似をしてほしいわけではないと書いた。これは回想録ではない。自らの手でそのキャラクターを本物にしてほしい。僕は『キャラクターを真に理解して自身でそのキャラクターを作りあげる手助けをしたい』と。観客が本物だと思えるキャラクターを作り出したい。それが自分の監督スタイルだと思っているよ」
-キャストとの交流について
「それぞれ違う役者なので、それに合わせて、反応を伺いながら実験的・即興な演出も試しました。ユアン(Ewan McGregor)とメラニー(Melanie Laurent)の演出については、二人が別れるということはどういうことなのか、彼にとって人を愛するということはどういうことなのか、一緒に考えて話し合いました。クリストファーは、実際に同性愛者である友人と食事をしたりしていたらしく、彼の実生活のエピソードも含めて話し合いました。映画においては、彼ら自身がキャラクターの書き手です。基本的にはあまり演技のコントロールはしたくないと考えています」
「キャストとは撮影の後もよく会っています。もちろん、 LAのベニスに住むコスモ(犬のアーサー役)にも会いに行っています」
(c)MODE PRESS
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