【10月29日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)の2013-14シーズン開幕を控え、35歳のコービー・ブライアント(Kobe Bryant)は、故障明けとなる新シーズンでその超人的な強靱さの真価が試される。

 ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)は、29日の開幕戦でロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)と対戦するが、ブライアントがコートに立つことはない。

 今年4月にアキレス腱の修復手術を行ったブライアントが具体的にいつ復帰するのか、また、復帰してからどのようなプレーを見せるのかは不透明となっている。

 10月上旬の時点でブライアントは自身に欠けている要素について、「爆発力だ。爆発力と筋肉の耐久性であって、取り戻すには少し時間が必要だ」との見解を示している。

「あとは太った尻も引き締めないと。準備ができたと言った時は、準備ができている」

■自身とチームへの低評価に不満を表したブライアント

 18年目のシーズンを迎えるブライアントを取り巻く不確実な要素は、実際に表面化している。ゼネラル・マネジャー(GM)を対象に毎年行われている投票において、シューティングガード(SG)部門でブライアントはヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)のジェームス・ハーデン(James Harden)に次ぐ2位にランクされた。

「ブラック・マンバ(毒蛇の一種)」の愛称を持つブライアントが、同ポジションで1位を逃したのは投票が行われた12年間で初めてのことだった。

 さらなる打撃は、スポーツ専門チャンネルESPNによる優勝予想でレイカーズがウエスタンカンファレンスで12位にランクされた上に、ブライアントは選手として25位にランクされた。

 この結果を受けて、ブライアントはすぐさま自身のツイッター(Twitter)アカウントのプロフィール欄に「1225」という数字を表示させ、挑戦的な反応を示した。

 こうした論調に対し、レイカーズのマイク・ダントーニ(Mike D'Antoni)HCは、どんなに侮蔑的な評価もブライアントにとってはエネルギーに変える要素にしかならないと確信している。

 ダントーニHCは、「彼を後押しする要素が増えただけだ。ただ、そんなもの彼には必要ない」と語った。

 ダントーニHCはまた、投票に参加した球団幹部もブライアントを獲得するチャンスがあれば飛びつくだろうとコメントしている。

「(投票した)全30人の経営陣は、獲得できるとなったら迷うことなくブライアントを迎え入れると断言できる」

 この投票の「NBAで最もタフな選手」という項目でブライアントは1位に輝いている。

 そのタフさは長年にわたる選手生活の中で、ブライアントが持つ技術を支えてきた。これまでに乗り越えてきた故障は、手首の骨折、シュートを打つ手首の靱帯損傷、人さし指の骨折、背中、臀部、ひじのけが、慢性的な右膝の不調などがあり、足首の捻挫は数え切れない。

 すべての負担に耐え抜いたブライアントは、昨シーズンの成績で1試合平均27得点、6リバウンド、6アシストを記録しており、プレーの輝きは一切失われていないことを証明している。

 さらに昨シーズン中に通算得点数でウィルト・チェンバレン(Wilt Chamberlain)氏を上回り、リーグ歴代4位に浮上した。また、昨季は出足が鈍かったレイカーズも、ブライアントの活躍によりプレーオフ進出を果たしている。

■6度目のファイナル制覇に意欲

 ブライアントが戦列に復帰すれば、新たな金字塔が視野に入ってくる。ブライアントはマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏が持つ歴代3位の通算得点を上回るのにあと676点としており、あと113アシストを記録すれば史上30人目の通算6000アシストに到達する。

 しかし、ブライアントにとって何より重要なことは、これまで2000年、2001年、2002年、2009年、2010年に成し遂げたNBAファイナル制覇を再び達成することだろう。

 今年6月にブライアントは、ロケッツに移籍したドワイト・ハワード(Dwight Howard)がチームを去ったとしても、レイカーズには十分な戦力が備わっていると明言している。

 ハワードが去り、ブライアントが離脱している今、レイカーズでは経験豊富なポイントガード(PG)のスティーブ・ナッシュ(Steve Nash)、センターのパウ・ガソル(Pau Gasol)が起爆剤になることを期待されている。

 6月にブライアントは、「何もかもが不透明という批判の声が聞こえてくる」と述べた後、こう反論した。

「今はそのように見えるかもしれないが、いずれ混乱も収まる。(来季の)俺たちは勝負ができるチームとしてコートに立っている」

(c)AFP/Rebecca BRYAN