【6月1日 AFP】北米サッカーリーグ(NASL)のニューヨーク・コスモス(New York Cosmos)は2日、米国のスポーツチームとして、16年ぶりにキューバで試合を行う。この一戦は、米国と共産主義国キューバのスポーツ関係にとって新たな一ページとなる。

 31日深夜、元ブラジル代表のペレ(Pele)氏を筆頭にコスモスの一団がチャーター機でハバナ(Havana)入りすると、地元メディアやファンのカメラのフラッシュが一斉にたかれた。

 かつてコスモスに所属していたペレ氏は、ファンからもみくちゃにされたものの、一団とともにすぐその場を立ち去った。

 2日にハバナのペドロ・マレーロ競技場(Pedro Marrero Stadium)で行われるキューバ代表チームとの一戦は、急速に改善した両国間の関係を象徴している。昨年、両国は約50年にもわたる国交断絶状態の正常化へ動き始めた。

 外交上の歴史的な出来事はスポーツ界にもすでに波及しており、キューバ側は先週、米大リーグ(MLB)のボルティモア・オリオールズ(Baltimore Orioles)がキューバ代表と対戦すると発表していた。オリオールズは、1999年にキューバでプレーした米国最後のプロチームとなっている。

 さらに5月には、キューバの国営テレビがこれまでにない試みとして、キューバ人選手のケンドリス・モラレス(Kendrys Morales)が所属するMLBカンザスシティ・ロイヤルズ(Kansas City Royals)とテキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)の一戦を放映している。

 コスモスにとって、この一戦はチームの刺激的な歴史を守るものになる。コスモスは1970年代にペレ氏、フランツ・ベッケンバウアー(Franz Beckenbauer)氏、ジョルジョ・キナーリャ(Giorgio Chinaglia)氏を獲得し、当時の北米サッカーリーグ(現在とは別のリーグ)を盛り上げた。

 米1部のメジャーリーグサッカー(MLS)に所属してはおらず2部のNASLでプレーしているものの、輝かしいクラブの歴史と国外での試合開催への意欲の証しとして、コスモスはいまだに米国サッカー界では国際的な知名度を誇る。

 今年もすでに香港(Hong Kong)やエルサルバドルで親善試合を行っており、キューバはコスモスが訪問した通算42番目の国となっている。(c)AFP