【7月18日 AFP】ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相が17日、リオデジャネイロ五輪から同国を締め出そうとする米国主導の動きに対し、欧州五輪委員会(EOC)の会長が反対の姿勢を示したことを歓迎した。国営タス通信(TASS)は、ムトコ氏が「ヒッキー氏の声明は非常に重要だ」とコメントしたことを伝えている。

 2014年ソチ冬季五輪のドーピング疑惑を調査しているリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書の発表が18日に迫るなかで、米国やカナダを筆頭とするいくつかの国は、ロシアのリオ五輪出場を全面的に禁止しようと各方面に働きかけている。

 しかし、EOCのパトリック・ヒッキー(Patrick Hickey)会長はこうした動きに「ショックを受けている」と話し、世界反ドーピング機関(WADA)の選手委員会会長が米国らの動きを支持するよう訴えたことについても、警戒感をあらわにしていた。

 ムトコ氏はヒッキー氏について、「米国反ドーピング機関(USADA)の行動が、WADAの報告書の独立性と機密性を損ねかねないという彼の発言は、まったくもって正しい」と話している。

「マクラーレン氏の報告書が発表されたあとに何が起きるのかがこれではっきりした。記者会見とロシアに対する圧力だ」

 カナダ出身のマクラーレン氏は、ロシアが2014年のソチ冬季五輪でも国家ぐるみで検体を不正に操作していたという元関係者の告発を受け、調査を開始していた。そしてその調査結果を示した報告書が、18日に提出される予定となっている。

 国際陸上連盟(IAAF)はすでに、ロシア陸上選手の国際大会の出場資格を停止している。そのため、女子棒高跳びのスター選手エレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)ら68人は、リオ五輪出場の最後の望みをかけてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てている。CASの裁定は、早ければ19日にも下される。

 露通信社Rスポーツ(R-Sport)によれば、ムトコ氏はマクラーレン氏の報告書をめぐる状況についても、「単なる茶番で政治的圧力」と批判している。

「民間の委員会が一国を告発する。しかし、それをするのにどれだけの権利や能力が必要だと思う?国を訴えるというのは相当なこと。適切な作法にのっとらなくてはならない」

 ムトコ氏はさらに、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)とモスクワ(Moscow)の研究所が「現在はWADAの一部に組み込まれている」と話し、「われわれを責めるのは、自分自身を責めるのと同じだと理解すべきだ」と続けた。

「ロシアは開かれている。あらゆることを最高のレベルで行う用意がある。それがわれわれの哲学だ」

(c)AFP