【10月28日 AFP】4月に負った左ひざの故障を乗り越え、現在行われている米大リーグ(MLB)のワールドシリーズで復帰を果たしたシカゴ・カブス(Chicago Cubs)のカイル・シュワバー(Kyle Schwarber)は、ホームで行われる今後の3試合は代打要員として臨むことが明らかになった。

 1908年を最後にワールドシリーズ制覇がなく、全米スポーツ史上最も王座から遠ざかっているカブスは、今シリーズ(7回戦制)でクリーブランド・インディアンス(Cleveland Indians)を相手に1勝1敗のタイで並んでいる。

 舞台を1世紀以上の歴史を誇る本拠地リグレー・フィールド(Wrigley Field)に移して行われる28日の第3戦は、カブスが今季のプレーオフで1勝1敗、防御率1.65をマークしている右腕カイル・ヘンドリックス(Kyle Hendricks)、インディアンスはここまで2戦2勝のジョシュ・トムリン(Josh Tomlin)が先発投手として登板予定だ。

 リハビリを経て、当初の最短予定よりも2か月早く戦列に帰ってきたシュワバーは、敵地クリーブランド(Cleveland)で開催された第2戦までを終えて7打数3安打2得点を記録し、チームの指名打者(DH)として活躍してきた。しかし、シカゴ(Chicago)で行われる試合はDH制なしのナ・リーグのルールにのっとり、投手が打席に立つことになる。

 カブスのジョー・マッドン(Joe Maddon)監督は当初、シュワバーの外野手起用を希望していたが、打撃と走塁を許可したドクターは、同選手をベンチに残し、戦略的に重要な場面で打席に立たせることがふさわしいとして、野手起用の可能性を否定していた。

 また、テオ・エプスタイン(Theo Epstein)編成本部長は、「カイルはまだ外野を守ることを医学的に認められていないから、今後の3戦ではラインアップから外れる」としたうえで、「彼が代打として試合にインパクトを与えることを期待している」とコメントしている。

■きわめて望みが低かった大けがからの復活

 しかし当のシュワバーは、「心の奥底では出場を切望しているが、まだけがには疑わしい点もある。重傷だったからね」と話し、本拠地リグレー・フィールドで行われる1945年以来のワールドシリーズをベンチで迎えることは残念ではないという。

「(復帰は)せいぜい、ばくち程度のものだった。チームメートのためにも出たいが、事実は事実。とにかく肉体的に不可能なんだ。だから、どんなときでも出番に対応できるように準備して、代打として臨むよ」

 昨季まで新人だったシュワバーは、ワールドシリーズ開幕からおよそ1週間前にメンバー入りを通告されるまで行っていたアリゾナ(Arizona)州でのトレーニングで、わずか4日間しか投手の生きた球を経験していなかったという。

 エプスタイン編成本部長も、「実戦形式での打撃練習を4日間しかこなせていなかったことを考えれば、過去2試合で彼がやってのけたことは本当に信じられない。世界最高の投球と対峙(たいじ)し、素晴らしい打席を重ね、得点を記録して重要な試合でチームの勝利に貢献している」と驚きを口にする。

「彼が成し遂げたことには畏敬の念を抱いているし、今後のシリーズで彼がもたらしてくれるであろう影響には本当に興奮している」

(c)AFP/Jim SLATER