【6月25日 AFP】カナダ・アルバータ(Alberta)州で先住民族の首長が警官に殴られ逮捕された事件で、検察は首長の起訴を取り下げた。逮捕の様子は複数のカナダメディアで報じられ、ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は警察の対応を「衝撃的」だと非難していた。

 先住民族アサバスカチペワン(Athabasca Chipewyan)の首長アラン・アダム(Allan Adam)さんの弁護団によると、検察は法廷審問において、逮捕に抵抗した罪と警官を暴行した罪について正式に起訴を取り下げた。

 逮捕の様子は騎馬警察(RCMP、連邦警察)の車載カメラで撮影されており、公開された映像に対しては激しい非難の声が上がった。また、トルドー首相はこの件について独立調査を行うよう求めた。

 トルドー氏は「これが単発で起きた例外的な事件ではないことは分かっている」と指摘。「多くの黒人や先住民族のカナダ人は警察におびえている。これは受け入れ難いことだ。政府として、こうした問題は変えなければならない」と主張した。

 映像には3月10日にアルバータ州フォートマクマリー(Fort McMurray)のカジノ前でアダムさんが逮捕された時の様子が映っており、アダムさんの車のナンバープレートが有効期限切れだったことについて警官とアダムさんが言い争った後、警官がアダムさんにタックルし、顔を殴る様子も捉えられていた。

 今月に入り、アダムさんは逮捕の際にできたあざや顔に受けた傷の写真を公開。また24日には、自身の経験をきっかけに騎馬警察がマイノリティーや先住民族への対応を変えるよう望んでいると訴えていた。(c)AFP