【11月28日 東方新報】北京市疾病予防コントロールセンターが14日に行った記者会によれば、北京の急性胃腸炎のうち90%が学校や幼稚園、保育圏などで起きている集団食中毒であるという。原因の多くは学校の食堂、給食調理上の衛生に問題がありそうだ。同センターは北京市教育委員会と市場監督管理局とともに「学校食堂感染予防コントロール指導手引き」を共同制作し、学校における感染予防を改めて厳しく呼びかけた。

 昨年は中国各地で、学校の給食材料の消費期限切れやカビが生えた材料を使っている問題が、ネット上で告発され話題となった。例えば昨年3月、四川省(Sichuan)の成都(Chengdu)第七中実験学校の小学部の給食でカビの生えた食材が使われていたと告発する動画がSNSなどで広まり、保護者が学校に詰めかけ、警察と衝突を起こす騒動があった。中国教育部や国家市場監督管理総局、国家衛生健康委員会は、学校長たち学校責任者も生徒と一緒に給食を食べ、記録をつけるなどの新ルールを盛り込んだ「学校食品安全・栄養健康管理規定」を制定するなど対処にあたった。

 だが、その後も学校給食現場の「不衛生」問題については、さまざまな告発があり、最近も湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の東湖学院の食堂で従業員がゴム長を履いた足を使って野菜を洗っている様子や、床に落ちたソーセージを拾ってソーセージ用トレーに戻したりしている様子が動画サイトにアップされ、その後、学校側に通報されて、食堂管理責任者が停職処分になるなどの騒ぎがあった。

 また、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の地元メディアは、寧夏理工学院北苑食堂で、厨房の職員が清掃用モップで鉄鍋を洗っている様子の動画がネットで流れていることを報じ、大きな反響を呼んだ。同学院は、同校の党委員会のリーダーシップで調査チームを組織して、食堂の職員や食堂内の衛生管理について調査を行った。調べによると、モップで洗っていた鍋は調理用ではなく、油汚れを落とすための熱湯を沸かす清掃用の鍋で、動画撮影者がこれを調理用鍋と誤解したものだったという。だが、外部の誤解を招くような清掃具の置き方や作業工程であったとして謝罪し、今後同様の問題が起きないよう対応をとったという。

 こうした問題の背景には、学校の食堂運営を安価で外部に委託したりする問題や、保護者たちの衛生観念と、安い賃金で食堂業務に従事する地方出身である従業員たちの感覚の差などもありそうだ。

 新型コロナウイルス感染症流行後は、学校現場では、さらに感染症対策についての要求が厳しくなっており、 こうした状況を受けて、北京市当局では学校側に、食堂での衛生問題についての責任所在を明確化にし、食堂従業員の管理監督強化などを改めて要請した。(c)東方新報/AFPBB News