中国のヘリ市場拡大中、エアバス・ヘリが期待
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【12月15日 東方新報】新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的な大流行)を起こし世界の航空業界が大きな打撃を受けているが、ヘリコプター産業は例外だ。世界最大のヘリコプターメーカーのエアバス・ヘリコプターズ(Airbus Helicopters)も中国市場への進出が順調だ。エアバス・ヘリコプターズ中国の魏薇(Wei Wei)社長は先月26日に広州市(Guangzhou)で中国新聞社(China News Service)の取材に対し、中国の低空空域が徐々に個人飛行に開放されており、ヘリコプター市場の前途への期待が高まっているという。
エアバス・ヘリコプターズの中国市場シェアは今のところ35%を占め、320機が中国の上空を飛んでいる。うち88機は自家用機だ。2019年4月に山東省(Shandong)青島市(Qingdao)でエアバスヘリ(H 135)組み立てラインが稼働しておりヘアバス・ヘリコプターズと中国企業のパートナーシップが進んでいる。2022年までに中国全体で民用ヘリ市場は1500機以上に拡大するとみられているが、その最大シェアを狙っている。1人当たりの民用ヘリ数を米国と同等になるまで市場が拡大するとすれば、その需要はおよそ6万機という計算になる。
魏社長によれば、新型コロナウイルスの影響でエアバス・ヘリコプターの全世界ユーザーの飛行時間は昨年同期比で15%前減少。また今年のエアバスヘリの販売注文も20~25ポイント減の見込みだという。そういう中で中国需要に期待がよせられている。
中国ではエアバス・ヘリユーザーの飛行時間は1~2月の春節期間やコロナ感染爆発初期にある程度急減少したが、3月には徐々に回復し、今年第2四半期には昨年同期を超える水準になった。これは中国ヘリ市場が堅調であることを反映している。
魏社長によれば、今年年末までで、中国エアバス・ヘリ全体の飛行時間は前年比5~10ポイント減でとどまるのではないか、という。
中国のヘリコプター産業の将来性については、中国の低空空域の開放問題、次にインフラの脆弱(ぜいじゃく)さや専門人材の養成能力に課題があるという。だが魏社長はこの点について、中国は目下、緊急医療救援や公安執法、電力パトロールや環境観測、通航運輸領域でヘリコプターの需要が拡大しており、中国のヘリコプター市場の前途は明るい、という。
「われわれは中国のヘリコプター産業の生態系に積極的に溶け込んでいく。特に、グローバルな情勢が不確実な今、中国の戦略において、中国との合意と協力の方向性に変化はない」と魏社長。
広東・香港・マカオグレートベイエリア(Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)のヘリコプー市場について言えば、エアバス・ヘリコプターズ中国の楊林(Yang Lin)商務副総裁は、「目下のこの地域のエアバス・ヘリコプターズの市場シェアは47%。ハイテク企業と人材が集中するこの地域で、ヘリコプターのプライベートと公務の領域で潜在的需要が広がっている」という。欧米と日本の成熟した市場と対比すると、警務執法、医療救護、応急救援などの領域での市場需要と潜在的成長力が依然大きい」という。
このほか、中国では海上風力発電市場が拡大中だが、これは海上風力発電所管理におけるヘリコプターの需要にも期待できる、ということだ。 (c)東方新報/AFPBB News