中国でまた大規模な砂嵐 多くの都市で大気汚染度が「測定不能」に
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【4月21日 東方新報】3月に「この10年で最も大規模」という砂嵐が発生した中国北部で、今月14~16日にまた砂嵐が発生。大気汚染指数(AQI)が測定不能な都市が続出した。
14日午後からモンゴルで暴風を伴う低気圧が発達し、砂漠地帯から巻き上げた砂嵐が強風に乗って各地に広がった。中国ではAQIの数値で大気の汚染度を1~6級に分けており、301以上が最悪の6級(厳重汚染)となる。今回の砂嵐では、北京市や河北省(Hebei)石家荘市(Shijiazhuang)、山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)フフホト市(Hohhot)、遼寧省(Liaoning)阜新市(Fuxin)など多くの都市でAQIが500を超え、測定不能となった。
北京市では15日夜、直径10ミクロン以下の粒子状物質(PM10)の濃度が、1立方メートル当たり1000マイクログラムに達した。世界保健機関(WHO)の基準値1立方メートル当たり20マイクログラムをはるかに上回る数値だ。砂嵐の影響で雷も発生し、北京では今年初めての雷警報を発した。
砂嵐はこのほか河南省(Henan)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)など中国北部一帯に広がっただけでなく、風向きの関係で上海市にまで波及。異例の広範囲に及んだ。
中国では春になると砂漠や草原に積もった雪が溶ける一方、降水量が少なく低気圧の風が次々と発生するため、砂嵐が広範囲に発生しやすい。2000年から2020年にかけて大規模な砂嵐は32回発生し、その時期は3月(11回)と4月(14回)に集中している。近年は減少傾向にあったが、今年3月15日にこの10年で最大規模という砂嵐が発生。北京では航空便の発着が停止され、高層ビル群が茶色い大気に染まり「この世の終わりのような光景」と言われた。砂嵐は3月27日も発生しており、今年は「当たり年」のような状況となっている。
砂嵐の発生源はモンゴル領内のゴビ砂漠であることも多いのだが、海外では「中国発の黄砂がまた国境を越えてくる」と見られがちなため、中国当局は大規模な砂嵐が中国批判につながることに神経をとがらせている。(c)東方新報/AFPBB News