現代のテクノロジーでポタラ宮を守る
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【10月5日 People’s Daily】マウスをクリックし、3Dモデルや壁画の細部を確認し、約800個の構造センサーで1000万組以上のデータを記録し、1500個以上の探査装置と約9キロメートルの光ファイバー温度センサーが古代建築の安全を守る。チベットで唯一の世界遺産として、1300年以上の歴史を持つポタラ宮(Potala Palace)は、現代のテクノロジーの力で新たによみがえっている。
2005年から今まで、ポタラ宮管理処デジタルセンター長のダワオジュ氏は、17年間ここで働いている。2006年に1度、中国敦煌研究院で研修を受け、壁画や古代建築のトポグラフィーや保存に使われるさまざまな技術に触れた彼は、ポタラ宮のデジタル化業務に着手することを決意したのだった。
当時、ダワオジュ氏はほとんどすべての時間、ポタラ宮の業務に打ち込んだ。壁画の撮影が可能な時間は短く、夜中の2時、3時までスタンドを立てて、訪問者のいない間に壁画の細部を撮影することもしばしばだった。
ポタラ宮の数千平方メートルの壁画のデジタル化だけでなく、宮殿全体のデジタルモデリングも大プロジェクトだった。ポタラ宮の複雑な建築構造、多数の内部調度品、台形壁の測量と製図は非常に難しく、地盤状況も不明瞭だった。ドローンによる空撮、3Dレーザースキャン、多視点画像再構成などの最新技術を駆使し、最終的にはポタラ宮全体のデジタルモデルを構築する。
ポタラ宮のメンテナンスのための構造監視や、建物の状態のリアルタイムの把握にも、現代技術が活用されている。ポタラ宮の構造を科学的にモニタリングすることは、ポタラ宮の合理的な開放のみならず、建物自体の効果的な保護や潜在的なリスク防止にとって重要だ。
北京交通大学(Beijing Jiaotong University)ポタラ宮構造監視研究センターの楊娜(Yang Na)教授の研究チームは、ポタラ宮の科学的監視システムを開発した。4年間の準備期間を経て、2012年10月、第1期のポタラ宮の構造監視システムが正式に稼働し、ポタラ宮の上部木造構造の主要部分の監視を中心に活用された。訪問客の流れのポタラ宮の木造構造に対する影響を特定し、制御メカニズムを確立し、入場者数を設定することで、観光客の訪問によるダメージからポタラ宮を効果的に守ることができる。
2015年から稼働を開始した第2期の構造監視システムは、検出がより困難なポタラ宮の壁やうね、その下の洞窟を対象としている。現在、管理者はスマートフォンを開けば、亀裂変位計、傾斜計、土壌水分計など、各種388個のセンサーからポタラ宮の壁面に関するさまざまな数値を記録したアプリケーションを使用できる。これによって、ひび割れ幅の変化、周囲の温度、壁や柱の傾斜角度などを24時間リアルタイムでモニタリングし、地震や雷電など安全を脅かす自然災害をタイムリーに監視できる。2021年8月の試運転以来、この監視システムは、データの結果に基づき建物の状態を分析する分析レポートを四半期ごとに自動に作成している。
ポタラ宮は建物自体の耐火性能は低く、タンカ(仏教を題材にした掛け軸)や経書などの堂内の文化財は、燃えやすいものだ。現在、ポタラ宮の建物は、自動火災警報システムが設置されており、このシステムは、検出器、ボタン、1524ものモジュール、8710メートルの差動式光ファイバー温度センサー、86台のビデオカメラ式火災検出器など各種の科学的な探査装置からなっている、その他、スマート電気系統管理システムも設置され、ポタラ宮全体を完全にカバーし、火災事故を最大限予防するよう備え付けられている。(c)People’s Daily/AFPBB News