激戦地の負傷兵救う 不休のウクライナ医療部隊
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【4月5日 AFP】診察台の上で腕に止血帯を巻かれた兵士のアンドリーさんが、痛みのあまりうめき声を上げている。麻酔医が励まそうと声を掛ける。「痛いのは腕が生きている証拠だ」
ロシアによる昨年の侵攻開始以来、最も激しい攻防が続いているウクライナ東部バフムート(Bakhmut)の前線近くで、アンドリーさんは負傷した。
アンドリーさんはまず、陸軍救急隊によって装甲兵員輸送車で搬送され、さらに救急車に乗り換え、ドネツク(Donetsk)地方の安定化処置拠点まで運ばれた。その途上で、迫撃砲の破片が貫通していた肩を衛生兵が止血してくれた。
治療を引き継いだのは、ダビンチ大隊(Da Vinci Battalion)の医療部隊だ。
同じくアンドリーという名の外科医(30)は、雪解けのぬかるみのせいで救急車がスピードを出せないのが厳しいと語った。
安定化処置拠点は小さな診療所のような場所だ。アルミシートにくるまれた負傷兵のアンドリーさんを、衛生兵が台の上に乗せる。
全身麻酔の設備はないため、麻酔医のオレグ医師は声を掛けて不安を取り除こうとする。「アンドリー、気分はどうだ?」
「以前にはもっと気分が良い日もあったんだが」と答えたアンドリーさんは吐き気を催し、嘔吐(おうと)した。「抗生物質の副反応だ」とオレグ医師が説明する。「治せるように、できることをすべてやっているから」