進化続ける中国の新エネルギー産業 農村の収入増にも貢献
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【4月11日 People’s Daily】中国のゴビ砂漠北西部、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)昌吉市(Changji)で直径186メートルの羽根車がゆっくりと持ち上げられ、高さ100メートル近くのエンジンルームに接続された。この風力発電所では125台のスマート発電機が設置され、完成後は毎年22億キロワットのクリーン電力を生み出す。
スマート風力発電機の特徴について、新疆華電木塁新エネルギー会社(Xinjiang Huadian Mulei New Energy)の高翔(Gao Xiang)副社長は「感知器を風力タービンに取り付け、高度な制御技術とアルゴリズム(計算方法)に基づいて複雑な風の流れを感知し、常に最適なパフォーマンスを達成できる」と説明。従来の風力発電機に比べて運用・保守コストも約20%削減できるという。
中国では、風力発電や太陽光発電に代表される新エネルギーの開発が加速し、産業競争力が高まっている。複数のプロジェクト開発と市場競争の激化に伴い、デジタル技術とインテリジェント技術の導入によるコスト削減と効率の向上は、多くの企業にとって必須となっている。
中国再生可能エネルギー学会風力エネルギー専門委員会の秦海岩(Qin Haiyuan)事務局長は「技術革新により、中国の風力発電の効率は10年前に比べて30%向上している。2021年の陸上風力発電と太陽光発電の電力コストは2012 年に比べてそれぞれ48%と70%低下した」と話す。
浙江省(Zhejiang)嘉興市(Jiaxing)では、建物一体型太陽光発電(BIPV)が進んでいる。パネルに太陽電池を搭載する既存の太陽光発電と異なり、屋根や外壁、天窓などに使う建材と一体化しているのが特徴。隆基緑能(LONGI Green Energy)の鐘宝申(Zhong Baoshen)会長は「BIPVは建材に組み込むだけで太陽光の発電機能を持たせることができる。多くの建物で活用でき、老朽化した建物も潜在的な市場となる」と語る。
中国各地では、クリーン電力を活用して二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロカーボン」の産業パークが次々と誕生している。内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)オルドス市の産業パークではエネルギーの80%が風力発電と太陽光発電によって供給され、20%は電力取引を行い、環境に100%配慮したエネルギー供給を実現している。
送電大手の中国国家電力投資集団(SPIC)は2022年、11兆ワットの太陽光発電と8兆ワットの風力発電、および100項目の家庭用太陽光発電プロジェクトを手がけた。このうち農村地域でクリーン発電所を建設することは、CO2の削減と地域経済の発展につながっている。プロジェクトリーダーの孫文(Sun Wen)氏は「農村の住民は発電ボードの下でソバを栽培しており、収入増にもつながっている」と説明する。
「第14次5か年計画再生可能エネルギー規則」は、農村における風力発電や太陽光発電の建設を推進している。国家エネルギー局の担当者は「クリーンエネルギーと砂防事業の結合、水素エネルギーの生産、太陽光発電回廊の構築、洋上風力発電との融合など、多様な再生可能エネルギーの組み合わせを進めていく」と語っている。(c)People’s Daily/AFPBB News