「光明映画館」は視覚障害者に世界を「見せる」
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【4月16日 People’s Daily】「声で色を伝え、聴覚で芸術を感じていただく『光明映画館』にようこそ。本日は映画『流転の地球(英題:The Wandering Earth)』をお届けします」。
中国四川省(Sichuan)盲人協会が上映したこの障害があっても楽しめる「バリアフリー」な映画は、制作から上映まで、すべて中国伝媒大学(CUC)「光明映画館」公益プロジェクトのボランティアチームによって行われた。このプロジェクトは、5年近くにわたって、500人以上の教員と学生のボランティアが参加し、アニメ、リアリズム、SF、歴史などの様々なジャンルのバリアフリー映画を500本以上制作した。現在、「光明映画館」は31の省・自治区・直轄市で公益性の上映や普及活動を行い、バリアフリーの映像製品を全国の2244の特別支援教育学校に提供している。
現在、中国には約1700万人の視覚障害者がいる。視覚障害者が「見」て理解し、映画館に引き込むことができるバリアフリー映画を制作するにはどうすればよいのか?
議論を重ねた結果、「光明映画館」は、バリアフリー映画の基本形式を確定させた。それは、映画のセリフと音楽の間に、映画の画面を説明し、映像の内容、感情、意義を描写することだ。
『「光明映画館」の意味は、視覚障害者が光を探し、希望を得ることを助けることだ』と、中国伝媒大学バリアフリー情報メディア研究院の傅海鉦(Fu Haizheng)副院長は言う。
バリアフリー映画には、制作だけではなく、上映の現場でのガイドも重要だ。視覚障害者が降車するのに最も便利な場所はどこなのか?途中に障害物はいくつあるのか?上映前に、学生たちは慎重に作業フローを策定し、ルートを何度も下見する。彼らは、すべての細かなことが視覚障害者の体験に影響を与えることを知っている。
「光明映画館」のおかげで、多くの視覚障害者が人生初の映画チケットを手に入れることができた。それは彼らのために特別に作られた映画鑑賞券であり、儀式感があるものだ。「彼らが映画チケットを手で慎重に触れ、映画のストーリーに合わせて時に笑い、時に涙を流す姿を見ると、私たちの全ての努力が報われたと感じる」と、中国伝媒大学博士課程の大学院生の李超鵬(Li Chaopeng)さんは語った。
「光明映画館」のボランティアの解説を通じ、私たちは映画の無限の魅力を味わい、視覚障害者と一般の人々が基本的な公共文化サービスを分かち合っていると感じた」と、中国盲人協会(CAPVD)の何川(He Chuan)副主席は語った。
現在、「光明映画館」のボランティアたちは、毎年104本のバリアフリー映画を制作し、視覚障害者のグループが平均して週に2本の新作映画を楽しめるようにしており、その鑑賞回数は、一般の人々の平均を上回るレベルに達している。2022年9月、「光明映画館」の公益リクエスト放送特設コーナーが全国ケーブルテレビに登場し、2億世帯以上に届けられているという。(c)People’s Daily/AFPBB News