中国の研究チーム、世界初となる「サルの脳信号による外部機器制御」に成功
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【5月11日 Xinhua News】中国天津市(Tianjin)の南開大学はこのほど、北京で世界初の非ヒト霊長類介入型ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)の実験に成功したと発表した。この成功は、中国のBCI技術が世界トップ水準にあることを示しており、また脳科学分野の研究推進にも役立つという。
多くの研究者は、脳を人体で最も複雑な器官と見なしている。脳内では、1千億個以上の神経細胞(ニューロン)がシナプスを介して100兆以上の結合を形成しており、脳を「解読する」ことは世界的な課題となっている。BCI技術とは、脳と外部機器との間に通信・制御経路を確立し、脳の生体信号で外部機器を直接制御し、また外部刺激で脳活動を調整するなどして、脳機能を強化、改善、拡張する技術を指す。同大によると、BCI技術は脳の電気信号を制御コマンドに変換できることから、脳卒中や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などにより運動機能障害を持つ患者が、外部デバイスと対話して生活の質を向上させるのに役立つ。
現在、BCIには主に、侵襲式と非侵襲式、介入式の3種類がある。このうち介入式は、低侵襲のやり方で血管に小さな穴を開け、心臓のステント留置に似た低侵襲手術で、脳とコンピューターを接続させる。この方法は、侵襲式よりも小さな傷で、非侵襲式よりも質の高い信号が得られる。今回の実験では介入式が採用された。同大学が発表した情報によると、研究チームは介入式脳波センサーをサルの頸(けい)静脈から矢状静脈洞に通し、サルの大脳皮質運動野に到達させた。手術後、チームは非ヒト霊長類の介入式脳波信号を収集し、識別することに成功。動物によるロボットアームの能動的制御を実現した。
進展があったとはいえ、複雑な脳波の解読や、学際的な連携を図る上での技術の壁など、BCI技術自体にまだ多くの克服すべきハードルがある。また、BCI技術の将来的な応用には、法律や倫理、規制・管理の問題も関わってくる。(c)Xinhua News/AFPBB News