【11⽉7⽇ Peopleʼs Daily】デジタルツインとは、現実のデジタルコピーだ。中国ではデジタルツイン技術がさまざまな分野に力を与えている。

 寧蕪高速道路の安徽省(Anhui)内の安蘇界から蕪湖中枢までの区間は、計画設計時からデジタルツイン技術が採用された。同区間は安徽省初のスマート高速道路であり、車両の動向や気象などの交通情報をリアルタイムで収集してデジタルツインに反映することで、精密な即時管理と制御を行う。完成すれば車両の平均速度が向上し、緊急事態の処理効率が向上する。悪天候による道路封鎖時間も削減できる。

 海南省(Hainan)三亜市(Sanya)の崖州湾科技城では、斬新なスマートパークが建設された。建設を手掛けた科大訊飛(アイフライテック、iFLYTEK)の関係者は、「人工知能(AI)アルゴリズムに基づいてデジタルツイン基盤に結び付けることで、従来型の単一部門ごとの扱いから、科学技術都市の全次元発展計画のビッグデータ利用に飛躍しました。都市発展計画の『管理可能・制御可能・視認可能』の現実化です」と説明した。

 江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)は古建築の全方位的で高精度な現状情報の取得を実現して、古建築の保護と補修に役立てている。河北省(Hebei)雄安新区(Xiong’an New Area)ではデジタルツイン都市と現実の都市を同時に計画し、同時に建設している。中国のデジタルツイン都市建設は「高速発展期」を迎えた。専門家は、「デジタルツイン都市を建設することで都市管理がより効率的になり、都市の持続可能な発展の条件が整いつつある」との見方を示した。

 2023年の黄河(Yellow River)の洪水防止の演習では、「クラウド黄河」が活躍した。極端な天候下での危険発生の分布状況を直観的に把握でき、災害状況や損害状況が一目で分かるなどで、水防の効率が高まった。この「クラウド黄河」は「デジタルツイン黄河」の応用例だ。

 黄河実験室デジタルツインチーム情報工学センターの呉丹(Wu Dan)副主任によると、デジタルツイン黄河の建設は流域のスマート化管理の重要な支柱となり、黄河流域の安全保障能力を全面的に高めた。

 浙江省(Zhejiang)の環境保護にもデジタルツイン技術が役立てられている。同省麗水市(Lishui)にある百山祖国立公園の龍泉エリアの標高1800メートル近い高山湿地で5月、カルガモのつがいが餌を探して移動する様子が野外カメラで撮影され、IoTモニタリング設備とデジタルツイン応用プラットフォームを通じて時間や場所、気象、水文の情報が一括してシステムに送信された。

 同エリアの技術者である葉立新(Ye Lixin)氏は「高標高地域でカルガモが観測されたのは初めてです。カルガモの習性を研究するための多くの価値ある情報を得られました」と説明した。

 専門家は「デジタルツイン技術の生態保護分野への応用は将来性が高い。科学者に自然環境を研究・保護するためのより多くのツールを提供するだけでなく、政府部門や関連企業が経済発展と環境保護のバランスをより良く実現することを助ける」と見ている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News