「厳しい氷雪の冬」を逆手に取って力強い地域おこし 新疆
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【1⽉27⽇ Peopleʼs Daily】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)は冬になれば「氷雪の世界」だ。かつては仕事のない季節だったが、今では氷雪を利用した地域おこしが活発だ。
アルタイ市(Altay)内の将軍山スキー場では、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)から来た家族4人がスキーの支度をしていた。これまで冬には一般的な旅行をしていたが、今年は2人の子どもにスキーを学ばせることにしたという。
将軍山スキー学校の呂耀萍(Lv Yaoping)コーチによると、4年前には50人余りだったコーチが、今では180人余りに増えた。ウインタースポーツなどを楽しめる場所は増加しており、新疆全域でスキー場が101か所、アイススケートリンクが27か所、さらに氷雪のテーマパークは60か所に達した。
アルタイ地区(Altay Prefecture)は世界の「スキー発祥の地」だ。伝統的なスキー板は底面に毛皮を貼り付けている。斜面でも毛が雪をとらえることで上り斜面でも前進力を得られるスキー板は古くから生活必需品だった。
アルタイ市郊外の工房では、毛皮スキー板の製作技術伝承者のジュアンベク・スランベクさんが忙しく仕事をしていた。毛皮スキー板の価格は1000元(約2万円)ほどで、この冬にはすでに60組を作ったが、まだ注文をこなしきれていない。
そこから100キロ以上離れたカバ県(Kaba)の衣料メーカーの雅居床服では、従業員数十人が忙しく働いていた。先ごろスキーウエアを5000着出荷したが、1万2000着の注文が新たに舞い込んだという。
ウルムチ市(Urumqi)でウインタースポーツ用品を製造する氷雪新金立スキー器具もフル操業状態だ。同社は地元向けだけでなく、輸出も行っている。同社責任者の廖原(Liao Yuan)さんによると、販売量は年平均30パーセントのペースで増加している。自治区では、ウインタースポーツ関連の個人装備からスキー場用のリフトなど、関連商品の製造業がそろっている。
カイラトベク・ムサイさんと妻は毎日朝早く家を出て、近くのコクトカイ国際スキーリゾートに出勤する。カイラトベクさんは「(以前とは違って)今は暇な時なんかありません。私は造雪の主管で、妻はリゾートホテルの客室主管です。1か月で1万元(約20万円)以上の収入があります」と説明した。
コクトカイ国際スキーリゾートの開業は2020年だった。累計100万人以上の観光客を受け入れ、現在では210人余りの現地の農牧民に安定した雇用を提供している。1人当たりの年収は3万2000元(約65万円)だ。
ウルムチ県(Urumqi County)にあるフラライ合作社は、文創園という観光施設が無償で提供する販売場所で製品を販売している。カザフ族刺しゅう伝承者でもあるハティマ・アイナイ社長は「このラクダの置物、フェルトの財布、フェルトの装飾品はすべて、女性従業員の手作りです。1人当たり4500元(約9万円)ほどの月収があります」と説明した。地元の自然と伝統を生かし、施設の整備でさらに多くの観光客を呼び込むことで、多くの家庭が増収を実現した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News