中国・「養老」から「享老」へ、シルバー世代の団体旅行
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【4月10日 東方新報】「若い頃は時間がなかったけれど、今は自由だから、歩けなくなる前に旅行して、過去の青春を見つけたい」、携帯ポットを持ち、旅行会社のおそろいの赤い帽子をかぶり、胸には自分の名前、電話番号、車両番号などが書かれた札をつけた66歳の曹寧生(Cao Ningsheng)さんは「香港とマカオの繁栄ぶりを見てみたい」と思い、同世代を集めたグループツアーに参加した。
4月5日、「蘭州(Lanzhou)鉄路局国際旅行社寧夏(Ningxia)鉄路局国際旅行社」主催の「Y173西部周遊鉄道の旅」香港、珠海(Zhuhai)、マカオツアー列車は、606人の観光客を満載して、銀川(Yinchuan)駅から16日間の旅をスタートさせた。
待合室には曹さんと同じ赤い日帽子の旅客が数多く見られた。63歳の陳勝利(Chen Shengli)さんは中国新聞社(CNS)の記者に「今回は友だちといっしょに40人のグループを作って参加しました。全員高齢者で、我々は皆顔見知りです」と話した。 陳さんの老齢年金は月5000元(約10万4982円)以上で、旅行費用は特別な負担ではなく、ただ休憩をとって遊びに行きたいのだという。
「お金と余暇のあるシルバー族は、ますます旅行に意欲的になっている。「中国国内観光発展年次報告(2022-2023年)」によると、2021年の45歳から64歳までの旅行者数は延べ9億200万人で、旅行者数全体の27.80パーセントを占め、観光市場における最大の旅行客ソースとなっている。
高齢者観光市場の規模の拡大で、高齢者向けにカスタマイズされた一連のツアー商品も生まれている。「蘭州鉄路局国際旅行社寧夏鉄路局国際旅行社」の周宏強(Zhou Hongqiang)さんの話によれば、多くの高齢観光客のニーズに合わせ、「西部周遊鉄道の旅」の列車の運行は「高速移動とゆっくり観光」「目的地まで1駅到着」「途中乗り換え無し」として、観光する時間をたっぷりと取り、全旅程に医師が同行し、また専任のツアーガイドも配置して、老齢の旅行客の安全を確保している。
若者が求める「気ままで自由な一人旅」とは違い、高齢者は団体旅行を好む。中国の大手オンライン旅行サービス企業・携程(Trip.com)が発表した「2023年シルバー年齢層の旅行行動洞察」によると、団体旅行は高齢者が最も好む旅行スタイルで、23年のシルバー年齢の申し込みの半数近くが団体旅行だった。前述の曹寧生さんも「自分で旅行計画を作るのは苦手で、団体旅行に入るのがもっと便利です」と言っている。
68歳の郭小巧(Guo Xiaoqiao)さんも「グループ旅行がより快適で安全です。同年齢の人たちに囲まれて、一緒におしゃべりもできるし」と話す。73歳の張新華(Zhang Xinhua)さんは「老人グループツアーは旅程がゆっくりしたペースで、皆についていくことができます」と言う。
高齢化の加速と社会経済の発展に伴い、シルバー年齢層の物質的・精神的なニーズは、文化と観光、レクリエーションなど新しい「養老モデル」が形成されつつある。
例えば、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region%)民政庁は福建省(Fujian)、広東省(Guangdong)、山西省(Shanxi)、雲南省(Yunnan)など13の省と区の民政庁と「旅行養老に関する合作協力の枠組み協定」を締結し、旅行と養老分野の相互協力の共同推進メカニズムを構築している。
寧夏省民政庁老齢業務・養老サービス処の宋亜東(Song Yadong)処長は「目下、関係部門で高齢者サービスの発展をさらに進め、シルバー年齢層の皆さんに個性的なサービスを提供して、『養老』から『享老』(老いを楽しむ)への転換を図ろうとしています」と話している。(c)東方新報/AFPBB News