【6⽉13⽇ Peopleʼs Daily】長江(揚子江、Yangtze River)本流には上流から下流に向けて烏東徳(Wudongde)、白鶴灘(Baihetan)、渓洛渡(Xiluodu)、向家壩(Xiangjiaba)、三峡(Sanxia)、葛洲壩(Gezhouba)の大型水力発電所6か所が設けられ、世界最大の1800キロ以上に及ぶクリーンエネルギー回廊が形成されている。水位の落差は900メートルを超え、合計110基の水力発電ユニットが稼働している。

 水力発電所6か所の累計発電量は3兆5000億キロワット時を突破した。標準炭換算で10億トン以上を節約し、二酸化炭素の排出を28億トン以上削減したことになる。

 深い峡谷にある白鶴灘水力発電所では、高低差200メートルを落下する水流が100万キロワット水力発電ユニット16基を稼働させている。長江電力白鶴灘発電所運行部の王斌(Wang Bin)副主任は「担当者が24時間体制で対応し、センサーがリアルタイムでデータを収集しています。異常が生じれば、システムが自動的に警報を出します」と説明した。

 1980年代に完成した葛洲ダムに設置された水力発電ユニットの単機最大容量は17万キロワットだった。世界最大規模の水利プロジェクトである三峡水力発電所の建設では70万キロワットユニットの設計と製造の技術課題を克服した。

 100万キロワット級の発電ユニットの開発では、一連の新技術や新素材の利用、そして産業チェーン全体の飛躍的向上が欠かせなかった。三峡集団機械電力技術センターの李海軍(Li Haijun)副主任は、「100万キロワット級ユニットは水により極めて大きな衝撃を受け、回転速度は極めて速く、圧力は極めて大きいのです。三峡集団は大手鉄鋼メーカーを主導し、800メガパスカル級の圧力に耐える渦巻管用鋼板を開発することで、長期にわたった輸入依存から脱却しました」と、技術開発の一例を説明した。

 長江電力科学技術研究センターの湯正陽(Tang Zhengyang)副主任は、「巨大な発電所群の運営は地域と電力ネットワークをまたいでおり構造が複雑で、大きく変動する電力需要に対応せねばなりません。長期にわたる安全で安定した運用のために、高度な課題に対応せねばなりません」と説明した。そのために多くのスマート技術が導入され、水力発電所のデジタル化が進められているという。

 水力発電所群のダムにより計768キロの深水航路が形成されたことで、長江の通航条件も改善された。重慶(Chongqing)市内の長江航路では、5000トン以上の船舶を接岸できる埠頭(ふとう)が多く作られた。ダム建設により、エネルギー消費量が低く、輸送力が大きく、安価であるなどの長江水運の強みが十分に発揮されるようになった。

 ダムは排水量を調整して下流の水位上昇を緩やかにすることで、魚類の繁殖の条件を整えることができる。長江ではダムと生態系の関係を知るための試験が繰り返し実施されてきた。ダムによる調整の対象は水温調節、アオコの防除、ダム底からの砂と泥の排出、水中植物の過剰繁殖の抑制などの分野にも広がり、長江流域の水生態の保護と修復を力強く推進しているという。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News