海外倉庫が輸出企業の海外向け事業の効率を大幅向上
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【9⽉2⽇ Peopleʼs Daily】その日の朝もドイツのデュッセルドルフ市(Duesseldorf)にある谷倉海外倉の第3倉庫からは荷物を積んだトラックが次々に発車した。谷倉海外倉は中国国外の倉庫を運営する深セン市(Shenzhen)内に本社のある会社だ。
越境ECの盛んな発展に伴い、消費者は速やかな配達をますます強く求めるようになった。中国の商品を海外に届ける際の時間短縮に大きく貢献しているのが、海外倉庫だ。中国からの輸出品のために2500か所の海外倉庫がすでに設立された。
ドイツを例にすれば、以前は業者が中国国内で商品を準備し、注文を受けてから海外に配送していた。航空便であってもドイツ到着までは5~10日を要した。現在では、事前にドイツ国内の倉庫で備蓄するので、ベルリン市(Berlin)内にならば注文を受けた翌日または翌々日に着く。つまり中国国内と同程度の時間しかかからない。
上記の谷倉海外倉第3倉庫の石磊(Shi Lei)倉庫長によると、海外に倉庫を設ければ中国からはコンテナで倉庫まで輸送するので、商品を個別に発送するよりも費用が安くなる。海外倉庫では、きめ細かな運営や用途に合致した専門倉庫などにより、作業効率や在庫回転率を向上させて費用削減が図られている。大型海外倉庫は現地の配送業者との価格交渉能力が高く、物流費用をさらに引き下げられる。
越境ECによる輸出で返品や商品交換は大きな問題だった。海外倉庫があれば商品を中国まで戻さなくても、現地の倉庫に留めて次の注文を待てばよい。
海外倉庫は「商品の備蓄場所」であるだけでなく、総合サービス機能を持つ貿易の新型インフラに変貌しつつある。例えば利用企業に対して多くの業務を提供する海外倉庫もある。その一例が、義烏商城集団がドバイやメキシコに設立した倉庫だ。また一部の海外倉庫企業は、中国国内に向けた商品物流を手がけることで、輸出入の双方向型の業務を展開している。
中国の税関総署によると、中国の越境ECの今年上半期の貿易総額は前年同期比10.5%増の1兆2200億元(約24兆8000億円)で、同じ期間中の中国の貿易全体の伸び率を4.4ポイント上回った。2018年には1兆600億元(約21兆5000億円)だった中国の越境ECによる貿易総額は、5年後の2023年には2兆3800億元(約48兆3000億円)と、約2.2倍に成長した。
多くの海外倉庫企業は物流回転効率を高めるために、スマート化やデジタル化を加速している。スマート化を実現してこそ、商品情報のリアルタイム収集、伝送、処理を実現することができる。また、ビッグデータ分析と組み合わせて商品の販売動向と在庫需要を予測して在庫管理をすることは有効だ。そうすれば商品の配送に直ちに対応することができ、在庫の滞積や売れ残りのリスクも回避できる。仕分けと配送の段階では、ロボットと自動仕分け設備が大量の注文を効率的に、安定して、正確に処理することができる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News