中国の「漢服」ブーム、27年に約242億元の市場規模を開拓
このニュースをシェア
【9月8日 Xinhua News】中国では漢民族の伝統衣装「漢服」が新たなトレンドとなりつつある。市場調査会社の艾媒諮詢(iiメディアリサーチ)によると、中国の「漢服」市場規模は拡大を続け、2023年は144億7千万元(1元=約20円)、27年には241億8千万元に上ると見込まれる。
「漢服」ブームは関連産業の発展もけん引し、文化観光や飲食、映画・テレビなどが「漢服」産業チェーンの一部となり、業種を超えた融合が進む中、「漢服」市場は一段と広がり、先行きも明るさを増している。
北京大学匯豊商学院イノベーション・起業センターとデータ分析会社、知微数据傘下の知微研究院が共同で発表した「現代漢服産業オンラインプラットフォーム発展研究報告(2024)」によると、ショート動画とライブコマースがけん引役となり、現代漢服の販売量は大幅に増えている。今年3月に限っても、動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」傘下の電子商取引(EC)プラットフォーム「抖音電商」での現代漢服販売量は前月比58・0%増、前年同月比6・5倍になった。中国的な要素を取り入れた「新中式」ファッションの販売量は前月比2・4倍、前年同月比13・4倍に膨らんだ。うち中国の伝統的なひだ付きスカート「馬面裙」の受注量は前年同月比9・4倍になった。
「馬面裙」や旧正月に着る服「拝年服」の人気が全国的に高まる中、「漢服の宇宙の中心」と呼ばれる山東省菏沢市曹県も世界から注目を集めている。
県共産党委員会宣伝部の汲雲朋(きゅう・うんほう)副部長は「曹県では1~7月の漢服のオンライン小売販売額が前年同期比16・5%増の44億9千万元に上った。漢服企業は2524社を数え、その90・0%以上をオリジナルの漢服加工企業数が占める。ネットショップは1万4718店、体験型店舗は206店、就業者数は10万人に迫り、中国最大のオリジナル漢服産業クラスターが形成されている」と説明した。
現在の漢服産業の発展モデルについては、同氏は特に文化観光の新たなシーンが産業発展を後押ししている点に言及した。漢服とメーキャップ、カメラマン同行での撮影を組み合わせた新たな観光シーンをめぐり、平遥古城(山西省晋中市)や旧市街地の洛邑古城(河南省洛陽市)、文化・商業エリアの大唐不夜城(陝西省西安市)など全国の有名観光地と長期協力関係を結んでいるとし、歴史・文化的観光地61カ所では曹県製漢服の市場シェアが90・0%に上ると明かした。
中国伝媒大学文化産業管理学部主任の楊剣飛(よう・けんひ)副研究員は「没入型」観光の台頭が漢服の消費シーンを広げていると指摘した。「漢服文化を中核として、没入型観光はアパレル産業の繁栄を促すだけでなく、関連・周辺産業の発展も促進し、旅先での撮影サービスや飲食関連、映画・テレビ制作など多元化で相互作用が強い新型の産業生態系を共同で構築している」と述べた。
企業情報サイト「企査査」によると、今年1~4月の漢服関連企業登録数が最も多い都市は上から順に陝西省西安、山東省荷沢、河南省洛陽となった。西安や洛陽などの文化観光が盛んな都市では「漢服体験ができるホテル」や「漢服での撮影」などサービスも派生している。
産業チェーンの充実・拡大が進む中、漢服産業を通じて新市場を開拓する都市が増えつつある。北京第二外国語学院観光科学学院の王金偉(おう・きんい)教授は漢服産業が博物館や映画・テレビ、ゲーム・漫画などと異業種連携し、新たな成長分野を生み出すとともに、デジタル化と国際化の動きも見せることになるとの見解を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News