企業の技術入手に「ネット通販方式」、需給を取り持つプラットフォーム=湖北省
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【9⽉11⽇ Peopleʼs Daily】中国地質大学(武漢)(China University Of Geosciences, Wuhan)の傘下組織である自動化学院の実験室では、張晶晶(Zhang Jingjing)准教授と誒艾智能科技の研究開発責任者の晏文臨(Yan Wenlin)氏が、新開発の温湿度センサーの試作機をテストしていた。2人は3か月前にはまだ知り合っていなかった。2人の「縁を取り持った」のは湖北省(Hubei)で2023年に発表された科創サプライチェーンオンラインプラットフォーム(以下、「プラットフォーム」)だった。プラットフォームは「企業が解決したい問題を提起し、研究機関が応答する」を実現するためのもので、契約締結などの支援もしている。
コンピューター映像技術の応用を研究する張准教授は、かねてから人工知能(AI)の農業への応用を構想していたが、適切な切り口を見つけられなかった。一方の誒艾智能科技は創業間もない企業で、水産養殖に使える新型センサーの開発に力を入れてきた。晏氏は多くの大学や研究機関を訪問して技術支援を要請したが壁にぶつかっていた。「第1の原因は、科学研究者の関心が必ずしも企業と一致していないことです。もう一つはわれわれのような小企業は信用が不足していることです」という。
しかしこのプラットフォームを利用すれば、企業はまるでネット通販のように、オンラインでどこにどのような技術があるか知ることができる。担当マネージャーもいるので短時間で意思疎通ができ、技術提供側は迅速に第1段階の提案ができる。プラットフォームの存在を知った晏氏は、すぐに登録して「マイクロ温湿度計」の技術を求めた。プラットフォームは、条件を満たす多くの技術提供者を提示した。
晏氏は最終的に張准教授のチームを選んだ。張准教授はわずか1週間で「ブルートゥース・マイクロ温湿度センサー開発案」を示した。センサーのプロトタイプの設計は迅速に完了した。間もなく小規模試験が始まる。
湖北省は武漢市(Wuhan)内の東湖ハイテク区を試行地点として、プラットフォームで成立した提携に対して、毎年2億元(約41億円)の特別科学研究インセンティブ資金を設立し、事業の実際の投資額の25%、1事業当たり最高で100万元(約2060万円)を提供することで科学技術成果の実用化を支援することにした。
武漢敢為科技は2月、プラットフォームを通じて「高集成工業級赤外光学ガスセンサー」の技術開発を要請した。湖北光谷実験室の専門家がすぐに「注文」を受けた。武漢敢為科技の張俊竜(Zhang Junlong)社長は、「研究開発費は100万元を想定していました。専門家が提示した案の費用はもっと高額でしたが」と述べた。張社長はさらに、関連政策を、企業と科学研究機関が共同で困難な技術開発に取り組む動きを加速するものとして評価した。
現在までに、プラットフォームの利用企業は3万4000社を超え、企業による技術開発要請は1万6000件を超え、うち4500件余りがマッチングに成功した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News