【10月4日 Xinhua News】今年は中華人民共和国の成立75周年に当たる。国際都市上海で石庫門建築を代表とする中洋折衷型の「海派」(上海風)建築群は、市中心部の重要な構成要素として、75年の都市の移り変わりの中で新たな命を与えられ、中国式現代化の奇跡を見届けてきた。

 形を揃えた石材を門枠、真っ黒な厚い木板を扉とした石庫門建築は19世紀中ごろに誕生し、集合住宅の「里弄(リロウ)」建築とともに市中心部の中国式建築群を形成した。

 中国の国旗「五星紅旗」のひな形も上海の石庫門建築で作られた。最初のデザインを手がけた曽聯松(そう・れんしょう)は、1940年代末から虹口地区の石庫門建築を改良した新式里弄住宅で生活していた。旧居の山陰路145弄では今も毎年の国慶節に国旗が掲げられる。

 上海シティウォークの最年長ボランティアガイドの1人、秦来来(しん・らいらい)さんが生まれたのは1950年。子供の頃には老城隍廟(ろうじょうこうびょう)付近の石庫門住宅に住んでいたことを憶えている。門内には複数の大家族が住み、夜は室内に増設したロフトに上がって寝ていたという。

 この75年で上海の経済が急速に発展する中、秦さん一家は3度引っ越しし、最後は蘇州河(呉淞江)の河畔に落ち着いた。上海中心部は1992年から2022年の30年間で旧式住宅の改造を終え、秦さんが生まれた老城隍廟地区も今では明るくライトアップされている。

 一方で、石庫門の古い住宅に愛着を持ち、住み続ける人たちもいる。南京西路沿いの石庫門建築で家族と暮らす荘琰珺(そう・えんくん)さんは高校2年生。石庫門の「老虎窓」が好きだと話した。

 荘さんは「老虎窓は英語のルーフウインドウ(天窓)を指し、上海方言の『老虎』の発音が『ルーフ』に似ているのでそう呼ばれている」と紹介。老虎窓はシンプルだがロマンに満ちていると語った。

 荘さんが通う同市の名門校、光明中学(日本の中学・高校に相当)の天窓構造も海派の老虎窓の風格を持つという。同校の旧校舎は1923年に完成し、今年で101年になる。同市ではここ数年、市の人民代表大会常務委員会が歴史文化地区と優れた歴史的建築物を保護する条例を3度改正し、石庫門建築などの歴史的建築物に対してより規範化された質の高い保護を行っている。

 同校では9月21日、特別な点灯式が行われ、校舎の外壁がハイテクな補助照明によって初めて近隣の有名な景観スポットとともにライトアップされた。壁を損なわず、環境にも配慮した照明プランを採用し、ライトアップショーを鑑賞した光景観創造国際ネットワーク(LUCI)の責任者も取り組みを称賛した。(c)Xinhua News/AFPBB News