【10⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国・重慶市(Chongqing)江北区(Jiangbei)の観音橋街道九街の開放ステージは週末の夜になると、人々が歌ったり踊ったりで実ににぎやかだ。一方で、すぐ近くの北倉図書館では多くの若者が静かに本を読む。この図書館は24時間営業で、夜も文化に関心を持つ人々が集まる。

 中国では「夜の経済」が急成長している。従来は飲食や小売りの露店が中心だったが、現在では文化や観光関連、その他の娯楽などの多様な業態を融合しつつある。各地に、地元の事情に応じた豊富で多彩な夜の経済が出現した。

 天津市(Tianjin)で開催された「天津に君がいる-第5回天津ナイトライフフェスティバル」では、100種以上の娯楽体験イベントが実施された。遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shenyang)の第1回中医薬文化夜市では、人々が専門家に太極拳などを教わった。河北省(Hebei)石家荘市(Shijiazhuang)では、従来型の夜の娯楽以外にも、スポーツプログラムを導入して市民をいざなっている。

 都市部以外でも、特色ある「夜の経済」が展開されている。湖北省(Hubei)咸寧市(Xianning)の郊外にある白雲山の山頂にはテントが並び、人々が涼みながらキャンプやバーベキュー、天体観測などを楽しんだ。甘粛省(Gansu)平涼市(Pingliang)にある王家荘村は、キャンプファイヤーや「農村バスケットボール」でにぎわった。貴州省(Guizhou)安順市(Anshun)の水井村では、広々とした蓮田を眺めながらの納涼と、地元料理を食べてもらう催しが行われた。

 中国政府・工業情報化部情報通信経済専門家委員会の盤和林(Pan Helin)委員は、夜の経済の多様化を指摘。例えば、夜間書店や夜間博物館の出現で、夜の娯楽に文化や科学の要素が加わることになり、新たなビジネスモデルが形成された。夜の経済の多様化は、個性を重視する消費者の求めに合致しているという。

 各地の行政は夜経済を発展させる措置を打ち出すと同時に、周囲の環境への悪影響を低減する対策を強化している。

 上海市(Shanghai)静安区(Jing’an)南京西路商圏の茂名北路歩行街は、夜になっても人でにぎわう。パリ五輪など世界的なスポーツイベントの開催時に、一部の飲食店は午前1時までの営業時間を午前3時までに延長するようになった。

 行政部門は業者代表と協議を行い、「露天経営区域の画定」、「夜間LEDの明るさ統一」、「夜間の外部音響広告の禁止」など多くの細かい規則を定めた。住宅物件の管理会社は商圏店舗自治委員会を設立して規則の順守を図った。

 デジタル技術も大いに活用されている。遼寧省瀋陽市内では、市場を監督管理する行政関係者がスマートフォンのアプリを使って露天商を検査して、各検査項目を記録している。要する時間は5分足らずだ。同市場監督管理局食品流通課の張兆宇(Zhang Zhaoyu)氏は、「検査用の書類を持ち歩く必要がなく、ファイリングの手間も省けるので、効率が大幅に向上しました」と説明した。瀋陽市は携帯電話端末を利用することで、夜の露店の食品安全の監督管理を全面スマート化したという。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB