【12月15日 Xinhua News】中国江西省景徳鎮市の景徳鎮御窯博物館では、約550年前の明代成化年間に景徳鎮御窯廠(ぎょようしょう=明清時代に宮廷用陶磁器を焼いた窯場)で作られた素三彩の「アヒル型香炉」が、最も目立つ場所に展示されている。

 御窯の厳しい選定基準を満たすことができずに破棄され、地中に埋められたもので、500年以上の時を経て、陶磁器修復師が当時の姿によみがえらせた。かつて「不完全」とされたアヒルは今や博物館のシンボル的存在となり、訪れる人も必ずと言っていいほど一緒に記念写真を撮るようになった。

 同博物館を管轄する景徳鎮御窯博物院の翁彦俊(おう・げんしゅん)院長は、これまでに破棄されたアヒル型香炉を6点修復したと紹介。「香炉下腹部の開口部分にある六つの隠し穴が対流効果を生み、香りが口から出るように設計されたと考えられる。ただ、うまく機能しなかったようで、伝世品がない理由の一つかもしれない」と語った。

 博物院の職員によると、御窯遺跡では数十年の発掘で陶磁器の破片数トンが出土。整理や修復を経て、多くの御窯製陶磁器が復元された。翁氏によると、発見された6点の「アヒル」のうち1点は、北京の故宮博物院との共同修復で失われた色彩も補完され、500年余りの時を経て「兄弟を代表して宮廷入り」したという。

 御窯遺跡ではこの40年で、4千万点以上の陶磁器の破片が出土した。翁氏のチームは、科学技術を駆使して破片に隠された陶磁器文明の起源や発展、変化を解析し、世界初となる古陶磁器の「遺伝子バンク」を設立した。

 波乱万丈の運命をたどったアヒル型香炉も今や輝かしい時を迎え、「歳歳鴨(スイスイヤー)」の名を与えられて博物院の公式キャラクターとなった。ブランド化やミュージアムグッズのデザインも進められている。

 翁氏は「文化財自身に語らせてこそ、人々に景徳鎮陶磁器の歴史と文化を没入体験してもらえる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News