中国の文化デザイン交通カード:日常の移動を彩る新たなトレンド
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【1月8日 CNS】「冗談じゃなく、今日は地下鉄で『塔を持つ王様』を何人も見かけた」西安市(Xi’an)に住む邢(Xing)さんは、最近周りの乗客が公共交通を利用する際に、ポケットから「宝塔」を取り出し、支払い端末に軽くかざすだけで、まるで魔法のように改札を通過するのを目撃して驚いた。
邢さんが言う「宝塔」は、西安の有名なランドマーク「大雁塔(Big Wild Goose Pagoda)」をモデルにした「大雁塔交通カード」のことだ。最近、中国各都市が独自のデザインを取り入れた「ユニーク交通カード」を次々と発表している。大雁塔、龍紋の玉佩(装飾品)、皇后の玉璽、虎符、洛陽市(Luoyang)の牡丹など、いずれも独特なデザインで話題を集めており、日常の移動を楽しくする「新たなトレンド」として注目されている。
「今は玉佩で地下鉄に乗れるのか?」と驚く声もある中、北京市を訪れた観光客のネットユーザー・芒果干(Mangguogan)さんは、「友人と地下鉄に乗ったとき、彼女がポケットから玉佩を取り出して改札を通ったのを見て、驚きで声が出なかった」とその体験をシェアしている。
北京市が発表したこの「玉佩交通カード」は、故宮(紫禁城、Forbidden City)の「九龍壁」に描かれた第6の龍を模したデザインで、「災害除け」や「家族の安全」を願う意味が込められている。購入者の北京市民・呉(Wu)さんは、「龍は水を司り、水は財を象徴する。龍紋の玉佩には『財運を呼び込む』という縁起の良い意味があると聞き、即決で買った」と話している。
また、西漢時代の「皇后の玉璽」を再現した交通カード「皇后之璽カード」は、国宝級の文物をモデルに1:1スケールで制作されており、螭虎(ちこ)の彫刻や雲紋が忠実に再現されている。このカードには立体的な印章部分があり、朱肉を使えば実際にスタンプとして使用できるほどのリアルな仕上がりだ。
さらに「虎符交通カード」も人気を集めている。このカードは秦代の文物「秦杜虎符」をモデルにしており、青銅の質感が見事に再現されているだけでなく、カード自体が「二つに分けられる」というユニークな仕様だ。分割すると、それぞれが独立した交通カードとして使用できるため、親子で共有するのに便利だという。親子で使用しているネットユーザーの高阿姨(Gaoayi)さんは、「娘と一緒に虎符を半分ずつ持って出かけるのが楽しい」と語っている。
一方で、洛陽の「牡丹交通カード」は市のシンボルである牡丹をモデルにしており、赤や紫、白など多彩な色が用意されている。さらに、LED発光機能が付いたアップグレード版も登場しており、これが特に注目を集めている。このカードは、暗い場所で自動的に発光する仕組みになっており、幻想的な美しさが魅力だ。購入者のネットユーザー・momoさんは、「暗い環境だと、カードの牡丹が美しい光を放ち、すごく感動的だ」と話している。
ただし、こうした文化創造デザイン交通カードは「見た目が良い」ことが人気の理由である一方、その価格の高さがネックとなっているとの声も多い。例えば、「牡丹交通カード」の通常版は138元(約2974円)、発光版は238元(約5129円)であり、さらにチャージ料金が別途必要だ。「良いデザインだが値段が可愛くない」と購入をためらう声も多く、ネットユーザー「桃子」はこれを「美しいけれど高価なアイテム」と表現している。
また、これらの交通カードは現在、中国国内252の都市で相互利用が可能だが、地域ごとの割引が適用されない場合が多く、「地元以外ではコスパが悪い」という意見もある。例えば、西安在住の邢さんは、「皇后之璽カード」を使って他の地域で乗車する場合、地元で受けられる割引は適用されず、他都市の交通カードも同様だと話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News