生産をより「スマート」にする産業用インターネット運営維持員=重慶
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【1⽉21⽇ Peopleʼs Daily】「陳さん、システムの通報です。早く来てください」――。出勤したばかりの産業用インターネット運営維持員の陳国靖(Chen Guojing)氏は、直ちに設備の点検を行うことになった。陳氏の職場は中国・重慶市(Chongqing)巴南区(Ba'nan)にある重慶宗申機車工業製造の工場だ。
ディスプレー上の警報は、フレームの後部のナットのねじり値が基準に達していないことを示していた。生産ライン全体が待機状態だ。陳氏は機器の摩耗によって必要なねじり値を満たせていないことを発見した。すぐに予備部品を取り出し、20秒で交換を終えて設備を再稼働させた。
陳氏は2008年に重慶機電職業技術学院を卒業して、自動車部品製造企業に入社した。陳氏はその後、スマート化改造が製造業にとって極めて重要と思うようになった。そして7年前に産業用インターネット運営維持員になった。ネットワークの相互接続、データ収集処理、利用の最適化、システムの安全維持などを担当する職種だ。
陳氏が今の職場にやってきたのはデジタルスマート化生産ラインの建設当初だった2023年1月だ。最初は必要な技術について顧客と意思疎通をした。そして求められたことを現実化していく。「生産ラインの枠組みを少しずつ構築します。産業用インターネット運営維持員として最初から生産ラインの設計に深く参加してこそ、後で技術コンサルタントになれます」という。
スマート生産ラインが稼働した2024年1月の後も陳氏は残り、システムの運行状態の監視や故障警報の処理、性能の最適化などを担当してきた。
作業場には4本のオートバイ組み立てラインが並列に配置されている。うち2本は従来型の人手による生産ラインで、2本はスマート生産ラインだ。スマート生産ラインの労働者数は従来型ラインの75%で、製造人件費は53%だ。同時に1人当たりの組み立て効率は従来型ラインの1.95倍だ。
陳氏は「設備の故障診断はベテラン職人の経験に頼ることが多かったのですが、今ではスマートシステムが設備の状態を正確に把握しており、予防的な維持補修が可能です」と述べた。どこかの段階で実際の数値が基準を満たさなくなるとシステムは自動的に警報を出す。そのため、人手による巡回検査が不要になり、効率が大幅に向上するという。
陳氏は、「従来の生産ラインの手動操作では、品質のばらつきもありました。高精度のスマート制御とリアルタイム監視により、不良率と安全リスクはいずれも低下しました」と述べた。
作業場に産業用インターネットの運営維持員は2人しかいない。しかし、彼らがもたらす年間のコスト削減額は約868万元(約1億8200万円)だ。
重慶市にはすでにスマート工場が183か所、デジタル化作業場が1096か所ある。スマート製造の普及に伴い、企業の産業用インターネット運営維持員に対する需要はますます高まると予想されている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News