【2⽉4⽇ Peopleʼs Daily】中国では過去10年間に新設あるいは改良された農村の自動車道路が250万キロを超えた。累計821の郷鎮と7万600村には堅牢な道が通じた。

 甘粛省(Gansu)隴南市(Longnan)宕昌県(Tanchang)にある富坪村の住民の姚張為(Yao Zhangwei)さんの家の前に大型トラックが止まった。姚さんは梱包された花椒(中国山椒)を渡した。姚さんは笑顔を浮かべて「花椒をラバの背に載せて家ごとに売り歩く必要はなくなりました」と述べた。

 トラックで訪れた許志傑(Xu Zhijie)さんは近隣の村の住民で、ネット通販の仕事をしている。富坪村は周辺一帯で最も山奥にある。2017年に村に通じる道路が整備されたが、土砂崩れでしばしば通れなくなった。しかしここ数年は、交通部門が地滑り防止工事を行った。許さんは「今ずっと通りやすくなりました。雨の日も通行止めを心配する必要がなくなりました」と話した。

 交通インフラの改善に伴い、農村でのネット通販ビジネスが活気づくことになった。すべての郷鎮に宅配便の拠点が置かれ、また、1500以上の県級行政区で農村部への客運と貨物輸送と郵便を融合した業務が行われている。2024年上半期には同業務により農村部で扱われた郵便と宅配便は9億件を超えた。2023年の農産物のネット販売小売額は前年比12.5%増の5870億3000万元(約12兆6000億円)だった。

 重慶市(Chongqing)銅梁区(Tongliang)土橋鎮(Tuqiao)は周辺を見渡すと、白い壁と黒い屋根の民家が点在し、遠くには緑が生い茂る山が見える。まるで水墨画の世界だ。

 中国共産党土橋鎮委員会の秦科(Qin Ke)書記は、「以前の山間部は狭い悪路で、車に乗っているだけで大変で、良い景色を眺めるどころではありませんでした」と説明した。この2年間で鎮内の道路が再整備され、銅梁西郊環状道路が建設されて沿道の風景を楽しめるようになった。

 土橋鎮内の六贏村では農村観光に人気が出た。村から出て働いていた陳天竜(Chen Tianlong)さんは環状道路の整備を知るといち早く村に戻って桃園を作り、エコ農業と農業観光の二本立ての事業を始めた。陳さんは「桃の開花期と収穫期は大勢の観光客でにぎわいます」と説明した。

 2024年上半期に土橋鎮には延べ200万人余りの観光客が訪れ、観光関連の売上高は1億8000万元(約38億7000万円)、農産物の売上高は6000万元(約12億9000万円)余り、農産加工品では1億元(約21億5000万円)余りに達した。

 2023年末には中国全国でレジャー農業と農村観光を展開している村の割合が14.7%に達し、年間観光客は延べ30億人を超えた。道路の整備に後押しされた農村部でのビジネスは、住民に増収をもたらした。2024年1~9月期の農村部住民の1人当たり可処分所得は、物価変動要因を控除して前年同期比6.3%増で、都市住民の収入の農村住民の収入に対する倍率は前年同期よりも0.05ポイント縮小して2.46倍になった。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News