【1月29日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)を迎え、年夜飯(大晦日の食事)の需要が高まり、飲食業界の消費がピークに達している。レストランの予約が相次ぎ、新しいメニューが登場し、デリバリーサービスの人気も続いている。

 北京市西城区のあるレストランでは、11の個室がすぐに予約で埋まり、店内のテーブルも大人数向けに配置変更された。店長は、「若者向けの新しい料理も追加した」と話す。北京市豊台区のレストランでは、50の個室が早々に満席となり、店長によると、「牛肉や羊肉、穀物を使った料理が特に人気」とのことだ。

 全国的にも年夜飯の需要は高まっている。海底撈(Haidilao)火鍋は春節期間中、全国800店以上で通常営業し、大晦日だけで4万卓以上の予約が入った。上海市の老舗レストランである上海老飯店、緑波廊、上海徳興館なども例年通り人気で、緑波廊の総経理・陸亜明(Lu Yaming)氏は「6人用の年夜飯セットが特に好評」と語る。

 重慶市(Chongqing)では、年夜飯に火鍋を選ぶ人が多く、例年なら大晦日の前日に閉店する店舗も、今年は営業を続けることを決定した。正南斉北火鍋店のオーナー・杜華(Du Hua)氏は「予約の電話が殺到しており、営業スケジュールを変更した」と述べた。

 近年、消費者のニーズの多様化に伴い、年夜飯の宅配やテイクアウトの需要も急増している。フードデリバーサービスを含むアプリの美団(Meituan)のデータによると、年夜飯の宅配サービスを提供する飲食店の数は前年同期比220パーセント増加した。南京の南京大牌档では、3~4人、5~6人用の年夜飯セットが大好評で、名物の塩水鴨に加え、縁起の良い年菜(年越し料理)が含まれている。これらのセットは店頭での受け取りだけでなく、美団を通じた宅配予約も可能だ。

 オンラインプラットフォームも春節プロモーションを強化し、家族や友人と集まる機会をサポートしている。美団外売(Meituan Waimai)の総経理・薛冰(Xie Bing)氏によると、「注文状況に応じて配達料金を調整し、追加料金を配達員に還元することで、春節期間中のサービスを安定させる」とのことだ。

 飲食業界では、新たなサービスとして「出張シェフ」も登場している。事前に予約すると、シェフが食材や調味料を持参し、指定の時間に訪問して年夜飯を調理する。このサービスにより、手間をかけずに本格的な料理を自宅で楽しめるようになった。

 消費者の関心は、料理の味だけでなく、雰囲気やサービスにも向けられている。吉林省(Jilin)延辺朝鮮族自治州(Yanbian Korean Autonomous Prefecture)延吉市(Yanji)の海蘭江レストランでは、朝鮮族料理の冷麺や参鶏湯が人気で、店の前には県外からの観光客の車が並ぶ。総経理の南福順(Nan Fushun)氏は、「春節期間中の売上は通常の2~3倍に達し、店内も朝鮮族の伝統装飾で彩った」と語る。

 春節は年間最大の消費シーズンであり、飲食業界も大いに賑わっている。中国商務部市場運営・消費促進司の李剛(Li Gang)司長は、「老舗の伝統料理や地域の名物料理が人気を集め、年夜飯の注文数は前年同期比で倍増している」と発表した。また、商務部は「老舗フェスティバル」や「オンライン年貨祭(年越し用品フェア)」を開催し、春節の消費をさらに活性化させている。

 春節期間中、各地の商務部門は市場の動向を注視し、生活必需品の供給を確保する取り組みを進めている。(c)東方新報/AFPBB News