【2月13日 AFP】ドイツのオラフ・ショルツ首相は12日、選挙戦での野党との対立が激しさを増す中で、保守派の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に所属する黒人政治家に対して人種差別発言をしたとの疑惑を否定した。

最初に報じたニュース週刊誌フォークスによると、ショルツ氏は、CDU所属でベルリン市政府の文化担当トップを務めるタンザニア系のジョー・チアロ氏について、CDUの「イチジクの葉(不都合なものを形だけ覆い隠す存在)」であり、党にとっての「宮廷道化師」だと評したとされる。

2月23日の総選挙で次期首相の最有力候補と目されているCDUのフリードリヒ・メルツ党首はX(旧ツイッター)で、チアロ氏に対する発言に「言葉を失った」と述べ、ショルツ氏に謝罪を求めた。

CDUも声明で、この発言は人種差別的であり、ショルツ氏には「公職に就く資質が欠けている」ことを示すものだと批判した。

これに対してショルツ氏は声明で、人種差別との批判は「ばかげており、捏造(ねつぞう)されたものだ」と反論。

「私個人はジョー・チアロ氏について、CDU内の重要なリベラルの声として高く評価している」と続けた。

ショルツ氏は問題の発言について、記者との会話の中で出たもので、メルツ氏が最近、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支援の下、連邦議会で政府に移民政策の厳格化を求める決議案を可決したことを受け、物議を醸した同氏の策略についての話の流れだったと説明。

「CDU内にごくわずかしかいないリベラル派が、CDU党首(メルツ氏)の行動に反対の声を上げ、その言葉を批判した」点を指摘したものだと釈明した。

ショルツ氏が属する中道左派「社会民主党(SPD)」は、同氏がフォークスの報道を受けて弁護士を呼び、発言がチアロ氏の人種的ルーツと関連しているという主張を強く否定したと説明。

「フォークスはオラフ・ショルツ氏の発言を意図的に人種差別的な文脈に置き換えている」と主張した。(c)AFP