中国の「消費1兆元都市」7選—進化する市場と新たなトレンド
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【2月15日 東方新報】2024年、中国の都市における社会消費品小売総額を基準にすると、上海市、重慶市(Chongqing)、北京市、広州市(Guangzhou)、深セン市(Shengzhen)、成都市(Chengdu)、蘇州市(Suzhou)の7都市が1兆元(約21兆円)を超え、「消費1兆元都市」に名を連ねた。この「1兆元クラブ」の都市を分析すると、中国の消費動向の変化と新たなトレンドが浮かび上がる。
これらの都市の特徴として、まず「新しさ」が際立っている。
上海は、新商品の発表や展示、旗艦店の開設が国内で最も集まる都市となっており、2024年には1269店舗の新規オープンがあり、そのうち17%が大規模なブランドの旗艦店だった。海外企業の関係者も「上海は消費トレンドの発信地になった」と評価している。
重慶では、地域特有の景観や施設を活用した新たな消費シーンが生まれている。例えば、かつての防空壕が火鍋店やバー、書店へと生まれ変わったほか、高層ビルの屋上にはスカイバーやプールが続々と登場。「洞窟経済」「空中経済」「歩道経済」といった独特の消費スタイルが、市民に新たな体験を提供している。
蘇州も「エンターテインメント+」「スポーツ+」といった新たな消費シーンの創出に取り組んでおり、2024年には1000人以上が集まるコンサートが90回開催され、「コンサートのために都市を訪れる」という新しい旅行スタイルが定着しつつある。
深圳では、地理的優位性を活かし、世界規模のランドマーク商業圏5か所、全国的な商業拠点7か所、地域活性化型の商業圏42か所、さらに多数の地域密着型の商業施設を整備中。異なる層の消費者ニーズに応える多層的な商業空間の構築を目指している。
中国全体で進むグリーン化の流れは、消費市場にも明確に現れている。
北京では2024年、低炭素製品の普及促進を目的とした新たな取り組みを開始。企業に対しては環境負荷の低い生産を促し、市民には省エネルギー製品の購入補助を実施した。その結果、高効率家電やスマート家電の売上が急増し、特に新エネルギー車(EV)の小売売上は前年比22.6%増となった。
広州や深センでは、製品の買い替え支援策の拡充により、環境に配慮した消費行動が加速。深圳では、グリーン消費促進策として「植物工場+セントラルキッチン」などのモデル導入を支援し、衣料品業界では再生繊維や生分解性素材の使用を推奨する政策を打ち出した。
蘇州では、2024年のEV販売額が前年比57.4%の大幅増となり、環境意識の高まりが消費動向にも影響を与えている。
中国政府は、2024年の経済政策の重点項目として「消費の促進」を掲げている。各都市の政策を見ると、サービス消費の充実や消費の高品質化が重要なキーワードとなっている。
北京市は、子育て支援、高齢者ケア、美容・健康といった高品質なサービス消費の拡充を目指し、新たな消費モデルとして「ファーストエコノミー(新製品・新サービスの市場導入)」「ウィンターエコノミー(冬季観光・スポーツ)」「シルバーエコノミー(高齢者市場)」の推進を計画している。
上海では、サービス消費の拡大に重点を置き、デジタル配信や没入型エンターテインメント、キャンピングカー市場といった新たな分野の育成に注力する方針を示した。
成都は、新たな消費スタイルの育成にフォーカスし、「ウィンターエコノミー」「シルバーエコノミー」「ナイトエコノミー」「ペット市場」「低空経済(ドローン物流や航空サービス)」といった新しい分野の発展を推進する方針を明らかにした。
現在、中国の消費市場では、消費構造の高度化が進み、サービス消費の拡大が顕著になっている。専門家は、今後もサービス消費のさらなる拡充と質の向上が期待されると分析している。(c)東方新報/AFPBB News