【2月17日 CNS】「ユニコーン企業」という概念は、米国のベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リー(Aileen Lee)氏が2013年に提唱したもので、評価額が10億ドル(約1517億6000万円)以上でありながら未上場のテクノロジー系スタートアップ企業を指す。2024年8月に中国国務院発展研究センターが発表した最新の白書によると、中国には現在523社のユニコーン企業が存在し、米国に次ぐ世界第2位の規模となっている。さらに、中国にはユニコーン企業候補とされる企業も924社存在する。

 世界的な経済変革と技術革命が進む中、ユニコーン企業はイノベーションを牽引する存在として注目を集め続けている。一方で、その成長環境は変化しており、いくつかの新たな課題にも直面している。これについて、中国長江商学院の戦略学教授である滕斌聖(Teng Binsheng)氏は、ユニコーン企業のグローバルな生態系における変化として、以下の3点を指摘している。

 まず、マクロ環境の変化が激化している。新興産業への規制強化や海外市場への上場審査の厳格化に加え、地政学的リスクや世界経済の減速といった要因が絡み、ユニコーン企業の発展環境はより複雑になっている。

 次に、市場の注目分野が急速に変化している。特に生成的人工知能(AIGC)や大規模AIモデルといった分野が台頭し、政策的に重視される新興産業である先端製造、半導体、新エネルギーなども投資の対象として注目されている。

 さらに、ユニコーン企業の特徴がより明確になりつつある。デジタル技術の活用度が高まり、企業規模はよりコンパクトで専門的になっている。

 現在、中国のユニコーン企業には「技術革新のスピードの速さ」「国際市場への積極進出」「多角化戦略」という3つの顕著な特徴がある。ユニコーン企業の競争力の核心は、技術の自立性と代替不可能性にあり、それが成長の原動力となっている。特に、AIと半導体は最も重要な分野とされる。また、中国のユニコーン企業は積極的に海外市場を開拓する戦略を採用しており、既存の事業に加えて新たな成長機会も模索している。例えば、小紅書(Red)や京東科技集団(JDT)などは、新たな事業分野の成長スピードが加速している。

 では、中国と米国のユニコーン企業の発展にはどのような違いがあるのか。産業分布を見ると、米国のユニコーン企業の9割以上が第三次産業(サービス業)に集中しており、第一次産業(農業・漁業)や第二次産業(製造業・建設業)の割合は極めて低い。これは先進国の経済構造に典型的な特徴だ。一方で、中国のユニコーン企業も第三次産業が6割以上を占めているが、第二次産業の比率が3割を超えており、これは「製造大国」としての中国の強みを反映している。

 滕斌聖氏によると、米国はブロックチェーンやデジタル通貨などの分野で優位性を持つが、中国はAI、先端製造、自動車・交通分野において世界をリードする存在となっているという。今後、中国企業はグローバルなエコシステムの中で独自の競争優位性を見出すことが重要となる。国際貿易環境が複雑化するなか、長期的な視点で産業の未来を見据え、持続的な成長戦略を持つことが、成功のカギを握ると考えられる。(c)CNS/JCM/AFPBB News