ハルビンの氷雪観光、外国語ガイドが大忙し
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【2月19日 東方新報】「以前は欧米の観光客が多かったが、今では東南アジアからの旅行者がかなり増えている」と、黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)で英語ガイドをしているサマンサ・ソン(Samantha Song)さんは語る。携程(Trip.com)のデータによると、2025年の春節(旧正月、Lunar New Year)期間中、ハルビンはタイやマレーシアの観光客にとって、それぞれ最も人気のある都市の1位と2位にランクインした。
■ハルビンのインバウンド観光が急成長
13年間英語ガイドを続けているサマンサ・ソンさんは、ハルビン出身で、ハルビン師範大学(Harbin Normal University)の英語教育専攻を卒業した。2001年に北京の外資系企業で4年間働いた後、ハルビンに戻ることを決意。現地での求職活動が難航する中、ハルビン氷雪大世界(Harbin Ice and Snow World)で外国人観光客を目にし、彼らにハルビンの魅力を伝える仕事をしようと決意し、英語ガイドを始めた。現在、5人のメンバーと共に英語ガイド事務所を運営している。
ハルビン市政府のデータによると、今シーズン、ハルビンを訪れる外国人観光客は前年比220パーセント以上増加。春節期間には外国人観光客が前年比144.7パーセント増となり、特にタイ、韓国、マレーシアなどの国々からの訪問が急増している。
特に東南アジア市場の伸びが顕著で、ハルビンのインバウンド観光の85パーセントを東南アジアの旅行者が占めるという。サマンサさんは「彼らの目的ははっきりしていて、氷雪大世界や雪郷(Xu Xiang)などの観光地を訪れること」と語る。東南アジアでは雪が降らないため、観光客は雪景色を楽しみにしており、特に雪郷や亜布力(Yabuli)のツアーが人気だ。一方、欧米の観光客は氷の彫刻を好み、雪郷にはあまり行かないという。
また、東南アジアの観光客は、友人や家族単位で小規模なツアーを好み、コストパフォーマンスの高い1日ツアーを利用する傾向がある。
■外国語ガイド、繁忙期には2か月で8万元稼ぐことも
2023年以降、中国はシンガポール、マレーシア、タイなどの東南アジア諸国に対するビザなし渡航政策を大幅に緩和し、旅行需要を後押しした。
サマンサさんは「この政策の影響で、東南アジアからの観光客が急増した」と語る。「今年1月からの収入は、前年同期の3倍になった。今シーズンだけで100以上のインバウンドツアーを担当した」
小王(仮名)さんも「2024年11月以降、インバウンド観光客が急増し、多い日は20件以上の予約が入る」と語る。
ハルビンの外国語ガイドは特に冬季に需要が集中し、繁忙期には1日に10以上のツアーを担当することもある。サマンサさんによると「2か月で2万〜3万元(約41〜62万円)稼ぐ人も多く、中には4万〜6万元(約83〜125万円)、最高で8万元(約167万円)稼ぐガイドもいる」
現在、彼女たちは海外の旅行予約サイトや中国国内のオンライン旅行プラットフォーム(OTA)の海外版を活用して集客しており、多くの東南アジアの観光客は自国のテレビ広告を通じてハルビンの情報を得ているという。
「観光客はテレビの旅行番組や広告を見てハルビンを知り、ネットで検索して予約する。一部の観光客は小紅書(Red)や抖音(Douyin)を利用しているが、それほど多くはない」とサマンサさんは説明する。
■今後の展望
ハルビン市は、2024-2025年の氷雪観光シーズンに向け、2024年10月にカンボジア、マレーシア、タイで観光プロモーションを実施し、東南アジアの旅行会社500社と協力契約を締結した。さらに、12月には史上最大の東南アジア向け観光チャーター便が、377人の観光客を乗せてハルビンに到着した。
中国観光協会の幹部は「今後、氷雪観光市場はますます競争が激しくなる。ハルビンはブランド力やサービス向上に注力し、競争力を強化することが必要」と指摘する。
サマンサさんは「あるベトナムの観光客が、氷雪大世界を見て感動し、『次は家族を連れてまた来たい』と言ってくれた。それこそが、この仕事のやりがい」と語った。(c)東方新報/AFPBB News