【三里河中国経済観察】「テスラのスピード」が刷新 外資と中国市場の双方向の成長
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【2月20日 CNS】上海は再びテスラ(Tesla)に驚きをもたらした。
最近、テスラの上海エネルギー貯蔵スーパーファクトリーが、上海自由貿易区の臨港新片区で正式に稼働を開始した。この工場は、テスラが米国本土以外で建設した初のエネルギー貯蔵スーパーファクトリーであり、2024年5月に建設を開始してからわずか7か月で完成した。
テスラは2019年に上海市と初めて提携し、上海スーパーファクトリーは「その年に着工、その年に生産開始、その年に納品」という驚異的なスピードで国際的に注目を集めた。現在、この工場の年間生産能力は95万台に達し、2024年には中国本土でのテスラの販売台数が65万台を超え、過去最高を記録している。
この驚異的な成長の背後には、中国の「スピード」がある。上海臨港新片区の関係者によると、テスラのエネルギー貯蔵スーパーファクトリーの建設において、臨港新片区は「企業が政府を待つ」から「政府が企業を待つ」へと転換し、プロジェクトをサポートするための「サービスパッケージ」を導入した。これには、建設進行を促進するための河川を跨ぐ橋の建設や、工場の2000人以上の従業員向けにブルーカラーアパートを手配することなどが含まれる。
テスラが上海でスムーズに事業を展開できているのは、上海が継続的にビジネス環境を最適化しているからだ。上海は8年連続で「新春第一会」を開催し、ビジネス環境の最適化に注力してきた。現在、ビジネス環境行動計画は8.0バージョンに進化している。企業の満足度を高めるために、上海は累計1101の施策を実施し、ビジネス環境を大幅に改善してきた。2024年末の時点で、上海には289.87万の企業があり、人口1000人あたりの企業数は117社で全国トップとなっている。
6年前、テスラは「黒船」として登場し、上海や全国の自動車産業に参入したが、今回は協調的な成長を目指す「双方向の成長」となっている。
テスラにとって、エネルギー貯蔵事業は電気自動車に次ぐ主要な事業分野である。創業者のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は2023年に「エネルギー貯蔵事業の成長率が電気自動車事業を上回る」と述べた。2024年のエネルギー貯蔵事業の収益は100.86億ドル(約1兆5228億円)で、前年比67パーセントの成長を達成している。
上海エネルギー貯蔵スーパーファクトリーの年間生産能力は1万台の「メガパック(Megapack)」で、貯蔵規模は約40ギガワット時に達する。これは1万3000世帯または40の中規模工場の年間消費電力量に相当する。2024年、中国の新型エネルギー貯蔵の新規稼働設備容量は109.8ギガワット時に達した。
上海にとって、新型エネルギー貯蔵は重点分野の一つである。「上海市新型エネルギー貯蔵デモンストレーション主導イノベーション発展作業計画(2025-2030年)」では、2026年までにエネルギー貯蔵の応用規模を80万キロワット以上とし、産業規模を約1000億元(約2兆727億円)に引き上げることを目指している。
長江デルタ地域を背景に持つ上海は、世界で最も完璧なエネルギー貯蔵産業チェーンを有する地域の一つであり、広範な市場需要、豊富な応用シナリオ、巨大な成長ポテンシャルを備えている。加えて、国際市場にアクセスしやすい地理的優位性と港湾の利点により、上海はテスラが世界のエネルギー貯蔵産業を拡大するための理想的な都市となっている。
テスラは中国のサプライチェーンの支えを受けて急速に成長した。上海と多国籍企業はオープンな姿勢で相互に受け入れ合い、豊田自動車は中国で初の完全子会社の設立を発表し、ハリー・ポッター(Harry Potter)のテーマパークが2027年にオープン予定である。
中国市場は、外資にとって新たな成長の機会を提供しており、次々と大規模な外資プロジェクトが中国に進出している。これは、中国が継続的に高水準の対外開放を行い、ビジネス環境を改善している結果だ。
上海臨港新片区から世界に向けて出航する多くのコンテナが示しているように、中国は「共有、共創、共栄」のストーリーを世界に発信し続けている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News