韓国の教育制度、2025年新学期から大きく変化…高校学点制・AI教科書導入・「ヌルボム学校」拡大
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【03月04日 KOREA WAVE】韓国の小・中・高校で3月から新たな教育制度が導入され、学校現場に大きな変化が訪れている。特に「高校学点制」「AI教科書」「ヌルボム学校」の拡大が注目される。
◇高校学点制の全面施行
高校生が自身の進路や適性に応じて科目を選択し、決められた学点(単位)を取得すれば卒業できる「高校学点制」が、高校1年生から全面施行された。2021年に韓国教育省が発表した計画から4年越しの実施となる。
高校学点制は、画一的な教育から脱却し、生徒の学習意欲を高めることを目的としている。従来の共通科目の比率が減少し、選択科目が増える仕組みだ。
今年入学する高校1年生は、3年間で192単位以上を取得しなければ卒業できない。内訳は、教科174単位、創意的体験活動(クラブ活動や自治活動など)18単位となる。教科内では必修が84単位、選択が90単位とされる。
単位取得には、授業の3分の2以上に出席し、成績評価がA~EのうちE(40%未満)の場合は未履修扱いとなる。特に1年生は共通科目を中心に履修し、選択科目の履修は2年生から本格化する。
◇AI教科書の導入
小学校3・4年生、中学1年生、高校1年生を対象に、AI(人工知能)を活用したデジタル教科書「AI教科書」が導入された。対象科目は英語・数学・情報の3科目で、今年は学校の自主判断で導入の可否を決定できる。2025年1学期には全国の約30%の学校がAI教科書を使用する。
AI教科書は、生徒の理解度に応じた個別学習を提供する。例えば、AIが生徒の苦手分野を分析し、補習問題を提示する仕組みだ。また、教員はAIが分析したデータを基に生徒の学習状況を把握し、個別指導をやりやすくなる。
ただ、AI教科書の本格運用は1~2週間遅れる見通しだ。教員が教育行政情報システム(NEIS)に教科選択情報、時間割、生徒の学籍情報などを登録する必要があるためだ。
◇ヌルボム学校の対象拡大
昨年、全国の小学校1年生を対象に全面施行された韓国版学童保育「ヌルボム学校」が、今年から2年生にも拡大される。
ヌルボム学校は、希望する小学生が午前7時から午後8時まで学校で放課後のケアサービスや教育プログラムを受けられる制度で、公教育による学童保育の一環として機能している。
プログラムも多様化し、ソウルでは教育大学や私立大学と連携した特別授業が提供されるほか、環境・生態教育も強化される。
また、先月、大田市の小学校で放課後授業を終えた児童が帰宅途中に事件に巻き込まれたことを受け、保護者への「対面引き渡し」と「同行帰宅」の原則が強化される。教育省は「帰宅支援スタッフ」を追加配置し、校門や玄関で児童を直接保護者に引き渡す方針を示している。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News