中国・52か月にわたる闘い:世界最長の高速道路トンネル建設
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【3月13日 Peopleʼs Daily】中国交通建設集団が建設した世界最長の高速道路トンネル「天山勝利トンネル」が、2024年12月30日午前11時頃に全線開通した。このトンネルの開通で、天山山脈を越えるのにかかる時間は、従来の3時間から約20分にまで短縮されることになる。
52か月にわたる建設期間中、建設チームは複雑な地質条件などの難題に悩まされた。国内の高速道路トンネル建設では初めて「硬質岩用トンネル掘削機」が使用され、「3本の並行トンネルと4本の立坑の組み合わせ工法」という工事技術も初めて採用された結果、「長距離トンネルの短期間掘削」が実現して、工期が大幅に短縮された。
天山山脈の中央部を通過する天山勝利トンネルは、国内の高速道路における典型的な「高寒・高海抜・高地殻応力」の長距離トンネルで、天山山脈の中腹を貫いている。
20年の着工以来、数千人の建設者が天山山脈の中腹で奮闘し、中国の高速道路トンネル建設において新たな先駆的な偉業を成し遂げた。
新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のウルムチ市(Urumqi)と尉犂県(Yuli County)を結ぶ区間の「新疆烏尉高速道路第五入札セクション」の総工程師・黄登侠(Huang Dengxia)さんは「トンネル全体が16の地質断層帯を貫通させる必要があるが、そのうち12の断層帯の入口の岩盤層が複雑でもろい地質のものだった。また、地殻応力が高い場所で、最大応力が22メガパスカル近くに達していた。まるでふわふわの『豆腐脳(Soft bean curd)』の中で工事しているようなものだった。泥漿が噴出したり岩盤が破裂したりする恐れがあった」と説明する。
トンネルの入口を深さ1900メートルまで掘り進んだ時、プロジェクトは全線にわたる最大の断層「F6博阿(Boa)断層帯」に遭遇し、幅440メートルにわたってその影響を受けた。岩盤は崩れやすく、水を多く含み、工事は困難を極めたという。
「硬質岩用トンネル掘削機が最も恐れるのは、時には柔らく時には硬いという不均一な掘削環境に遭遇することだ。そういう環境では岩盤崩落や突発湧水が頻繁に発生する。時には1日当たり7000立方メートルの水量に達することもある。いつ崩落してもおかしくない状況で、工事チームは『高密度岩盤支持構造』を選択した。3万7800本以上のポリエチレン管を用いた泡沫コンクリートを岩壁にしっかりと固定し、厚さ70センチの泡沫コンクリートの『減震層』を形成して、断層が周囲の岩盤に及ぼす圧力を解消した。これによって、80日後ついに『F6博阿断層帯』の貫通に成功した」、第五入札セクション工事部の呉特力根(Wute Ligen)部長はこのように解説する。
天山山脈に2本の全長22.13キロメートルのトンネルを掘るには、従来の掘削と爆破の方法では72ヶ月を要すると推測される。しかし、今回は現地の人びとの移動や地域開発のニーズに応える必要があり、このプロジェクトはまさに時間との闘いを余儀なくされたという。
本プロジェクトの苗宝棟(Miao Baodong)チーフエンジニアは「我々は研究と実証を繰り返して、革新的な『主トンネル+中央誘導トンネル』の掘削計画を選択した。左右の主トンネルの間に中央誘導トンネルを追加し、同社が独自開発した天山勝利トンネル用にカスタマイズした『硬岩掘削機』が、左右のトンネルの作業面をさらに広げる『先導者』の役割を果たした。これで、2本の主トンネルを複数のセクションに『切り分け』し、作業を同時に行うことができたため、『長距離トンネルの短期間掘削』に成功した」と説明する。
巨大なロータリーカッター盤の数十基のカッターヘッドが少しずつ前進し、岩石を砕いていく。 2台の硬岩掘削機「天山」と「勝利」が天山山脈の南北両側から同時に中心部に向かって掘削作業を行った。最も速い時には、1日あたり20~30メートル前進し、これは手作業による掘削の5倍以上の速度に当たり、52か月という短縮工事が実現した。
この革新的な工法は、掘削のスピードを向上させたと同時に、現場の作業面積も拡大させた。その結果、プロジェクトの安全かつ効率的な運営を確保する方法が、新たな課題となった。
トンネルの出口側を受け持つ「第六入札区画」の李亜隆(Li Yalong)プロジェクトマネージャーは「建設のピーク時には、出口側だけでも7つの作業現場が同時に稼働した。毎日1200人以上がこのトンネルに出入りし、車両も600~700台が往復していた」と振り返る。
「デジタル監視・指令センター」に入ると、トンネル内で作業する人数と車両の台数が一目でわかるようになっていた。
李さんは「作業員や車両が秩序正しく出入りできるように、我々はインテリジェント配車システム、車両位置特定システムを、また作業員用には電子アクセス管理システムを立ち上げ、科学技術の力を利用して建設を進めた」と語る。
それでは、両端で同時に掘削を進める時に、山脈の内部でどのようにして両端をスムーズに合流させるのだろうか。
これは、特別な技術チームである「精密測量チーム」の分担だ。 坑口と坑内の両方で、精密測量チームのメンバーが6か月ごとに合同測量を行い、平面基準点と標高基準網を測り、方向がずれていないことを綿密に確認し、スムーズな合流に成功したのだった。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews