朴槿恵氏の罷免時「暴動→4人死亡」の過去…尹大統領弾劾審判で8年前の教訓は生かされるか
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【03月13日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾審判の宣告日が来週に迫るなか、8年前の混乱と悲劇が改めて注目されている。2017年3月、当時のパク・クネ(朴槿恵)大統領の弾劾が認められた際、4人が死亡したからだ。この時、誰も死に対する責任を取らなかった。
2017年3月10日、憲法裁判所がパク・クネ氏の罷免を全会一致で認めた直後、弾劾反対集会を主導していた「大統領弾劾棄却を求める国民総決起運動本部」は「憲裁の8人の裁判官は正義と真実を無視した」と非難し、判決を受け入れない姿勢を示した。
同団体は集会の壇上で「憲法裁に突入しよう」「バスを超えて突撃だ」などと参加者を煽動し、「国民抵抗権を発動する」とまで宣言した。参加者は憲法裁判所への突入を試み、多数の警察官や記者、市民と衝突した。
ある参加者は警察のバスを奪取し、バリケードに50回以上体当たりを繰り返した。この際、測定機器が設置された大型スピーカーが落下し、70代男性が直撃を受けて死亡。また、60代男性も意識不明の状態で発見され、搬送後に死亡が確認された。
さらに、別の70代男性2人も意識を失ったまま発見され、当日、命を落とした。この日だけで2人、最終的に計4人が死亡する事態となった。
集会を煽動したとして警察の捜査を受けた「パク・クネを愛する会」のチョン・グァンヨン会長は「死亡者は警察の過剰鎮圧が原因だ」と容疑を否定したが、最終的に懲役1年6カ月、執行猶予2年の判決が確定した。
◇警察力を総動員、厳戒態勢
今回、警察は2017年の事態を繰り返さないため、ユン大統領の弾劾審判宣告日には警察力のすべてを動員し、厳戒態勢を敷く方針だ。
警察は、最大レベルの非常警戒態勢「甲号非常」の発令を検討しており、宣告前後の数日間、憲法裁判所周辺への立ち入りを封鎖するために車両バリケードを設置し「真空地帯」を作る計画だ。
宣告当日、警察は鍾路区と中区一帯を特別犯罪予防強化区域に指定し、8つのエリアに分けて秩序維持と人の安全管理をする。
ソウル警察庁長代理のパク・ヒョンス氏は、10日の記者会見で「総警級幹部だけで30人以上を配置する」と述べ、「各地域に責任者を配置し、刑事機動隊・機動巡察隊・地域警察・対話警察などの部隊を支援する」と説明した。
また、暴力事態の発生に備え、警察は護身用防犯スプレーと警棒の使用も検討・準備している。護身用防犯スプレーは2017年3月のパク・クネ氏の弾劾反対集会で使用されたのが最後となっている。
このほか、憲法裁判所の裁判官に対する身辺警護も強化される。警察は弾劾審判の結果を踏まえたシナリオを作成し、裁判官の保護訓練も実施したと伝えられている。
しかし、警察の厳重な準備にもかかわらず、今年1月に発生した「ソウル西部地裁襲撃事件」などを例に挙げ、再び暴力や人的被害が発生するのではという懸念も出ている。
2017年の弾劾審判時に情報業務を担当していた警察関係者は「当時もさまざまな事態に備えていたが、予測不能な混乱が発生し、多くの人命が犠牲になった。今回はさらに多くの変数を考慮して備えている。特に高齢層の事故や人命被害が心配だ」と語った。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News