「デジタル腎臓」で腎臓疾患を可視化 北京大が研究計画発表
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【3月14日 Xinhua News】中国北京大学の研究チームはこのほど、「腎臓イメージオミクス計画」を世界に向けて発表した。画像診断技術の一つ、マルチモーダルイメージング技術と人工知能(AI)アルゴリズムで「デジタル腎臓(腎臓全体のデジタルアトラス)」を作成する。「デジタル腎臓」は腎臓疾患のメカニズムをより鮮明に可視化でき、精密な診断、治療や新薬開発に新たな方向性を提供する。
慢性腎臓病は自覚症状が現れにくく、検査方法も限られていることなどから、患者は通常、初期段階で確定診断を受けることが難しく、症状が現れた時には既にステージが進行しているケースも少なくない。
こうした課題を克服するため、北京大学国家生物医学イメージング科学センターと同大学第一医院は共同で、同計画を立ち上げた。従来の病理検査の限界を乗り越え、「デジタル腎臓」により精密な診断・治療のための多次元評価システムの構築を目指す。
プロジェクト責任者で同医院副院長の楊莉(よう・り)氏は「デジタル腎臓」の特徴について、動的シミュレーションと多次元可視化にあると紹介。「多様な技術的手段を通じて、腎臓を分子・細胞レベルから臓器全体の機能まで直感的に可視化し、マルチモーダルイメージングを統合することで、実際の腎臓の内部構造と動的進行過程を描き出すことができる」と語った。
また、臨床の現場では「デジタル腎臓」プラットフォームは病巣の正確な位置を特定するのにも役立ち、患者の臨床データと組み合わせて個別化したデジタルモデルを構築、患者に最適な治療計画を選別することで、腎臓疾患の早期診断能力と個別化診断・治療レベルを向上させることができると紹介した。
計画は、中国の科学誌「国家科学評論(ナショナル・サイエンス・レビュー)」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News